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TJ手術を経てつかんだ重剛一体の新スウィング――岩村明憲が見た大谷翔平ホームラン量産の理由<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2021.07.12

――今季、大谷選手は何本くらいホームランを打つと思いますか?

 今のペースなら、50本の大台は決して夢ではない数字になったと思います。しかしながら、連戦続きなので引き続き怪我には細心の注意を図らなければなりません。

 打つことだけなら、まさしくホームラン王争いも演じてくれると思うんですが、そこに投げることが加わると、僕たち野手では想像できないぐらい、登板翌日に疲労があると思うんです。今のところは疲れを感じさせない活躍をしてくれていますが、必ずどこかで疲労が溜まってパフォーマンスが落ちるということはあるので。

 なので僕は、自分の身体と正直にコミュニケーションをとりながら、試合に出る、出ないを選択してほしいなと思います。今の大谷選手には日本人だけでなく全世界のメジャーリーグファンも注目していますから。怪我でいなくなると、やはりみんな悲しくなるので。健康な状態で常に試合に出続けてほしいなと思いますね。

――健康な状態で試合に出続ける以外に大事なことはありますか?

 やっぱりいろんな投球を見て、それに対応していくことが大事ですね。バッティングはそうやって上手くなっていくものなので。今季、大谷選手はアウトコース低めのチェンジアップも、左中間方向にヒットが打てるようになっているんですね。

 パワーだけじゃなくて柔らかさが出てきている。こうした対応力を発揮していれば、そのうちホームランボールは勝手にやってきます。そうやって甘く入ってきた球を逃さずに打てれば、(ブラディミ-ル・)ゲレーロJr.(ブルージェイズ)のようなメジャーの強打者ともホームラン王を争えると思います。
 
――メジャーで本塁打王を争う日本人選手というのは、これまでにいませんでした。大谷選手とこれまでの日本人打者で、異なる点はどこでしょうか?

 三振を恐れるという教育を受けてきてない点ですね。日本特有のスモールベースボールには染まっていないというか。育った環境がすべてとは言わないですが、自分たちは先輩方から三振を減らせと言われることが多かったので。

 大谷選手があそこまでのスウィングができるのは、やはり一つの才能です。たとえば2ストライクまでのスウィングと、2ストライクになってからのスウィングは、普通は若干変わるんですが、大谷選手の場合はそれがあまりないですね。

 あとはやはり、恵まれた体格というのがすごく大きな要素です。今季はひとまわり大きくなったと言われてますけど、それ以前にも身長やリーチの長さが、他のメジャーリーガーにも引けを取らなかった。むしろ、大谷選手の方がより大きく見える場面も多かったです。体格の大きさはアドバンテージですよね。

――大谷選手が、これまでの日本人選手が到達できなかったところに到達していることの意義について、どうお考えですか?

 そもそも、比較対象が100年前のベーブ・ルースですからね。大谷選手の凄さは、比べられるところがそこにしかないということです。ベーブ・ルースといえば、僕らにしてみれば「歴史上の人物」ですよ。本や古い映像でしか見たことがないような存在と比較されるのは、 一言「すごい!」としか言いようがないです。

 もちろん、100マイルを投げるピッチャーがホームラン王を取るかもしれないという期待は、すごく大きなものがあると思います。僕たちは今、毎日歴史上でも稀なことを目撃できているんです。それはすごく嬉しいことですよね。

構成●SLUGGER編集部

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