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プロ野球

地元愛知出身で竜党を公言…中日はなぜ五輪の英雄・栗林良吏をドラフト1位で指名しなかったのか〈SLUGGER〉

西尾典文

2021.08.13

 今年の中日の投手成績を見ても、リーグトップの防御率3.31(前半戦終了時点)を記録しているように、必ずしも即戦力の投手を必要としていなかったという事情もある。それを考えると、やはり優先度は栗林よりも高橋だったというのもよく分かる判断である。

 栗林にとっても、中日ではなく広島に入団したことはプラスだったのではないだろうか。中日はR.マルティネス、祖父江大輔、又吉克樹、谷元圭介などリリーフ陣に実績のある投手が多く、R.マルティネスが東京オリンピック予選で離脱した期間でも。代わりに抑えを任せられていた可能性は低い。一方の広島はリーグ3連覇を支えたリリーフ陣が軒並み勤続疲労で成績を落とし、ルーキーを抜擢しやすいチーム事情だった。栗林だけでなく森浦大輔、大道温貴がいきなり戦力となっていることを見ても、即戦力が必要だったのは圧倒的に広島だったのだ。
 
 さまざまな事情があって地元の中日は栗林の指名を見送ったが、侍ジャパンにとってもこの結果は極めて大きかったことは間違いない。前半戦と五輪でのフル回転した疲労は不安要素となるが、日本中が注目した大舞台で結果を残したことは大きな自信となったはずだ。後半戦も低迷するチームを救うようなピッチングを数多く見せてくれることを期待したい。

【PHOTO】全勝で金メダル!侍ジャパンの激闘をベストショットで一挙公開!

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。

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