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MLB

トレード・デッドラインから約1ヵ月。新天地に移った大物選手たちの明暗<SLUGGER>

宇根夏樹

2021.08.23

 ただ、7月17日から離脱していたフランシスコ・リンドーアとほぼ同時に、バイエズも間もなく復帰する予定だ。ともにプエルトリコ出身の2人は幼馴染みで仲も良く、17年のWBCでは併殺デュオを組んだ。ここから、メッツを浮上させる両輪となることが期待される。

 レンジャーズからフィリーズへ移ったカイル・ギブソンも、防御率からすると期待外れに見える。移籍前の19登板は2.87、移籍後の4登板は4.70だ。そもそも前半戦の好投をまぐれと見る向きも多く、その意味では納得の不振に思えるが、これは3登板目の4.1イニングで6失点が主な要因。他の3登板はクオリティ・スタートを記録し、最初の2登板は2失点と1失点に抑えていて、全体的な印象はそこまで悪くない。
 
 移籍前にパイレーツでリーグ2位の打率.324を記録し、オールスターにも初出場したアダム・フレイジャー(パドレス)の場合は、移籍後に明から暗に転じた。最初10試合の打率.308に対し、その後の12試合は打率.178だ。8月20日には、それまでの打順1番と2番から8番に下げられた。チームも8月は8勝10敗と7月に続いて負け越し。起爆剤として期待されたが、思うような結果が出ていない。

 ここで取り上げた6人のうち、シャーザーとブライアントのいる2チームはすでにポストシーズン進出の可能性が非常に高く、2人は今後調子を落としても、ポストシーズンで挽回できる。他の4人は、まずチームをポストシーズンへ導く必要がある。レギュラーシーズンはあと1か月以上あり、ここまでが不本意でも、巻き返す時間はまだ残されている。

文●宇根夏樹

【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。
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