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プロ野球

「え、名前が呼ばれない」2021ドラフトでまさかの“指名漏れ”となった逸材たち

西尾典文

2021.10.12

③長谷川稜佑(青森大/投手)
 春のリーグ戦では155キロをマークし、リーグ記録となる1試合19奪三振もマーク。北東北リーグを代表する本格派右腕として、昨年秋からの成長ぶりは著しいものがあり、これだけ最終学年で伸びる大学生も珍しかった。好調時のピッチングを見れば、上位指名の可能性も十分にあるように感じられたが、まさかの指名なし。

 その原因としては試合によっての調子の波の大きさと、秋のリーグ戦開幕が遅れて万全の投球をアピールできなかった点が考えられる。仮定の話はなってしまうが、春の好調時の投球を秋も見せられていたら……と感じた関係者、スカウトも多いはずだ。本来の力を発揮できれば社会人でも圧倒できるだけの球威はあるだけに、安定感を増して2年後の1位指名を狙ってもらいたい。

④吉村貢司郎(東芝・投手)
 日大豊山高時代から安定したフォームが魅力で、国学院大では故障に苦しんだが、東芝入社1年目となる昨年の都市対抗では最速152キロもマーク。そして今年9月の都市対抗予選では、強豪のENEOSを相手に被安打4、10奪三振で完封と圧巻のピッチングを見せて、さらなる成長ぶりをアピールした。

 それでも指名が見送られたのは、やはり安定感のなさが原因ではないだろうか。好調時には圧巻のピッチングを見せるものの、リズムが単調になると打ち込まれるという試合も少なくなかった。ストレートが走らない時の投球も課題。ボールの力は申し分ないだけに、来年に大きな舞台で安定した投球を見せることができれば、まだまだプロ入りの可能性はあるだろう。
 
⑤藤井健平(NTT西日本/外野手)
 野手で指名がなかったことに最も驚かされたのが藤井だ。大阪桐蔭高時代から強肩・強打・俊足の光る外野手として活躍。東海大では少し伸び悩んだものの、3年春にはMVP、4年秋にはベストナインも獲得している。社会人1年目の昨年も、都市対抗では9番ながら3試合で8打数6安打1本塁打と活躍し、新人賞にあたる若獅子賞も受賞。今年は3番に定着していただけに指名は確実かと思われたが、まさかの見送りとなった。

 今年指名された社会人の野手を見ると、走攻守三拍子揃った選手よりも長打力が重視されているように見えた。それでも、藤井くらい全てのレベルが高ければすぐに戦力となる可能性は高い。来年も高水準のプレーを見せて、指名を勝ち取ってくれることを期待したい。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。
 

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