山本の投げ込むカーブが特殊なのは、勝負球で投げる速いカーブだ。通常、カーブはドロンとして浮き上がってから変化していく。そのため、球速が遅いケースが多い。山本の場合、ストレートをはじめ、カットボール、フォークも速いため、それに比べれば遅いのだが、一般的なカーブよりやや速い。これが厄介なのだ。
昨今の投手は、速いストレートを軸に速い変化球で勝負するケースが多い。俗に言う「動くボール」だ。打者のミートポイントが捕手寄りに設定され始めたことに対抗するためで、緩急をつけるよりも、打者の球種の判断を遅らせた方が良いとされているからである。
しかし、球速が近い球ばかり投げていると、コントロールミスをした時に、タイミングがあってしまう危険性も孕んでいる。その危機回避には球速帯を変えることも必要なのだ。
「カットボールなど速い系の球種に偏らないことを意識しました。CSだからと言うわけではなくて、シーズン後半、僕が組むようになってからはカットボールを多用しなくなりました。優先順位としたらカーブの方が高いのかなと思います」と若月は言う。
ただ、間違ってはいけないのは、これらの投げ分けは緩急をつけるためではないことだ。先ほども書いたように、最近は好打者ほどミートポイントを後ろに置いていて、球速があまりにも違うとすぐバレてしまう。かつてのようなドロンとしたカーブだと、球種を判別してからでも打ちに行くことは十分にできたのだ。
ところが、山本のカーブは球速があるため、打者がカーブと分かってから手を出そうと思っても間に合わない。レアードや山口が見逃し三振を喫しているように、球速があるカーブが効果的に作用していると言うわけだ。
山本は言う。
「今日の1勝は大きいと思います。ドキドキしながら投げていましたが、勝ち切ることができてホッとしています」
序盤の調子が良くない中、山本はカーブを駆使してゲームを組み立てた。5回からはパーフェクトピッチングで、結局その後は9回まで一人の走者も出さなかった。
ここ1番の試合で見せたエースの快投は、チームを勢い付けるはずだ。
【CSファイナルPHOTO】オリックス1-0ロッテ|エース山本、無四球&10奪三振で完封勝利!T-岡田が初回先制タイムリー!
【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園という病』『甲子園は通過点です』(ともに新潮社)、『メジャーをかなえた雄星ノート』(文藝春秋社)では監修を務めた。
昨今の投手は、速いストレートを軸に速い変化球で勝負するケースが多い。俗に言う「動くボール」だ。打者のミートポイントが捕手寄りに設定され始めたことに対抗するためで、緩急をつけるよりも、打者の球種の判断を遅らせた方が良いとされているからである。
しかし、球速が近い球ばかり投げていると、コントロールミスをした時に、タイミングがあってしまう危険性も孕んでいる。その危機回避には球速帯を変えることも必要なのだ。
「カットボールなど速い系の球種に偏らないことを意識しました。CSだからと言うわけではなくて、シーズン後半、僕が組むようになってからはカットボールを多用しなくなりました。優先順位としたらカーブの方が高いのかなと思います」と若月は言う。
ただ、間違ってはいけないのは、これらの投げ分けは緩急をつけるためではないことだ。先ほども書いたように、最近は好打者ほどミートポイントを後ろに置いていて、球速があまりにも違うとすぐバレてしまう。かつてのようなドロンとしたカーブだと、球種を判別してからでも打ちに行くことは十分にできたのだ。
ところが、山本のカーブは球速があるため、打者がカーブと分かってから手を出そうと思っても間に合わない。レアードや山口が見逃し三振を喫しているように、球速があるカーブが効果的に作用していると言うわけだ。
山本は言う。
「今日の1勝は大きいと思います。ドキドキしながら投げていましたが、勝ち切ることができてホッとしています」
序盤の調子が良くない中、山本はカーブを駆使してゲームを組み立てた。5回からはパーフェクトピッチングで、結局その後は9回まで一人の走者も出さなかった。
ここ1番の試合で見せたエースの快投は、チームを勢い付けるはずだ。
【CSファイナルPHOTO】オリックス1-0ロッテ|エース山本、無四球&10奪三振で完封勝利!T-岡田が初回先制タイムリー!
【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園という病』『甲子園は通過点です』(ともに新潮社)、『メジャーをかなえた雄星ノート』(文藝春秋社)では監修を務めた。