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鈴木誠也の所属先は来年2月まで決まらない?長期化が懸念されるMLBロックアウト妥結のカギとは<SLUGGER>

出野哲也

2021.12.07

 また、年俸調停資格を得るまでは、好成績を収めても年俸をほとんど上げずに済む点を利用し、実働3年未満の選手を積極的に登用するチームも増えている。そのため、登録日数の少ない選手も働きに見合ったサラリーが得られるよう、選手会は年俸調停資格取得を2年に短縮することを強く要求している。

 だがオーナー側には譲歩の意思がなく、代わりにメジャー経験年数とは無関係に、全選手を29歳6ヵ月でFAにするという案を持ち出した。けれどもこの年齢だと、通常ならすでに下り坂にさしかかる頃で高額契約は期待できず、デビューが早い選手にとっては不利益しかない。選手側は現行の6年か、29歳6か月の早い方でFAになれる――という案なら考慮するとしている。

 選手会はタンキングへの対策も強く求めている。これは低迷するチームの再建手段として、高年俸の選手を放出して支出を抑えつつ、半ば故意に低迷してドラフト指名順位を上げ、有望な選手を確保すること。その過程で高給のベテランより低年俸の選手が起用されるため、全体として給与の引き下げになる。
 
 オーナー側も過剰なタンキングは道義的に問題だと認識しており、前述したサラリーフロアの導入で一定の年俸総額を維持するほか、ドラフトも3年続けては上位5位以内の指名はできない、とする改革案を出している。

 これに関連して、プレーオフ進出枠を10球団から14球団まで拡げる点についても話し合われている。勝利を目指す球団が増えればタンキング防止につながるからで、ナ・リーグのDH制導入ともども実現性が高いと見られている。

 ロックアウト突入直後、労使双方とも相手方を厳しく非難していたように隔たりは大きい。オーナー側がロックアウトに踏み切った背景には、行き先未定のFA選手たちにプレッシャーをかけ、安く契約しようと仕向ける意図があるのでは? と疑う向きもあって、早期には解決しそうもない。
 
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