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MLB

鈴木誠也の所属先は来年2月まで決まらない?長期化が懸念されるMLBロックアウト妥結のカギとは<SLUGGER>

出野哲也

2021.12.07

 妥結へ向けてのカギはやはりサービスタイムをめぐる問題だろう。交渉の過程で、選手会は年俸調停権取得までの期間を3年から2年、FA権取得を6年から5年に短縮することを求めたが、オーナー側は一蹴した。ただ、選手会にすれば、この問題をどうにかしない限りは「若い間は搾取され、FAを取ったら年齢を理由に買い叩かれる」事態は今後も変わらない。

 オーナー側も、少なくとも形の上ではロックアウトを仕掛けた側。球界の活動が凍結した状態が長引けば世論の批判を浴びるのは必至で、どこかのタイミングで譲歩せざるを得ないだろう。

 過去、ロックアウトが最も長く続いたのは1990年の32日間。この時は2月に始まって解決が3月19日までずれ込み、開幕が延期になった。今回はこの32日間を超える可能性が高い。交渉事では時間も大きな要素で、来年2月下旬のスプリング・トレーニング開始間近にならなければ、双方とも交渉に本腰を入れない可能性もある。
 
 その場合、まだ市場に残っている超大物FAのカルロス・コレアや、ポスティングでのMLB移籍を目指す鈴木誠也は、ごく短期間で契約先を見つけ、シーズンに備えなければならない。この2人は確実に大型契約を手にできるのでまだいいが、中堅どころのFA選手が大量に“失業”してしまう恐れもある。いずれにしても、市場の大混乱は避けられないだろう。

 不幸中の幸いがあるとすれば、ロックアウト突入がオフシーズンだったこと。しばらくの間、ファンは気長に解決を待つしかないかもしれない。

【PHOTO】いざ、メジャー挑戦へ! 「広島の至宝」鈴木誠也のベストショットを一挙公開!

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『プロ野球 埋もれたMVPを発掘する本』『メジャー・リーグ球団史』(いずれも言視舎)。

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