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プロ野球

佐藤、栗林、早川…即戦力ルーキーが同年代の“高卒ドラ1”を追い抜くのはなぜなのか<2021百選>

西尾典文

2021.12.13

 もう一つ大きいのはやはり年齢的な要因ではないだろうか。18歳の段階で同年代の中で結果を残していても、その後に思ったような成長が見られずに停滞する選手も確かに存在している。体の成長が止まり切っていないにもかかわらず無理をして故障につながり、最も速いボールを投げられたのが高校時代という投手も少なくない。20歳を過ぎてある程度体がしっかり出来上がってから結果を残してきた大学生や社会人では、そのようなリスクも少ないと言えるだろう。

 しかし、有力な大学生、社会人をひたすら上位で指名すれば成功するのかというと、それほど単純なものではない。高校卒の選手が成功した時のスケールの大きさは、大学卒、社会人出身の選手をはるかに上回っていることが多いのだ。今年メジャー契約を結んでいる日本人選手は8人いるがそのうち5人が高校卒であり、サンフランシスコ・ジャイアンツとスプリット契約を結んでいる山口俊も含めると9人中6人が高校卒となる。そしてその6人全員がドラフト1位でプロ入りした選手たちなのだ。高校卒のドラフト1位が持っているポテンシャルの大きさをよく表していると言えるだろう。

 また、高校卒は失敗が多いイメージがあるが、統一ドラフトとなった2008年以降、ドラフト上位(1位、2位)でプロ入りしながら投手では1勝、野手では1安打も記録できずに球界を去った選手を調べてみたところ、以下のような顔ぶれとなっている。
 
高校卒:10人
中崎雄太(08年西武1位)、宮本武文(08年巨人2位)、甲斐拓哉(08年オリックス1位)、鬼屋敷正人(09年巨人2位)、一二三慎太(10年阪神2位)、吉本祥二(11年ソフトバンク2位)、川上竜平(11年ヤクルト1位)、松本竜也(11年巨人1位)、北方悠誠(11年横浜1位)、相内誠(12年西武2位)

大学卒:11人
蕭一傑(08年阪神1位)、伊原正樹(08年オリックス2位)、二神一人(09年阪神1位)、古川秀一(09年オリックス1位)、大累進(12年巨人2位)、伊藤祐介(12年ソフトバンク2位)、川満寛弥(12年ロッテ2位)、佐藤峻一(12年オリックス2位)、浜田智博(14年中日2位)、田中英祐(14年ロッテ2位)、水野滉也(16年DeNA2位)、

社会人出身:3人
柿田裕太(13年DeNA1位)、野村亮介(14年中日1位)、竹下真吾(14年ヤクルト1位)

 極端な失敗例のデータではあるが、これを見ると大学卒、社会人出身の上位指名だからと言って、必ずしも安心というわけではないことがよく分かる。
 

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