専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
プロ野球

二軍球場で聞いた「大谷翔平MVP」の報ーー“偉才”が遠い存在となった今、藤浪晋太郎は何を思うのか?

チャリコ遠藤

2021.12.14

プロ入り後に迎えた甲子園での対戦では、藤浪が力でねじ伏せた。この時は、どちらもまだ線の細さが目立った。写真:産経新聞社

プロ入り後に迎えた甲子園での対戦では、藤浪が力でねじ伏せた。この時は、どちらもまだ線の細さが目立った。写真:産経新聞社

 いったい何が起こったのか。この不振の期間、投球フォームで試行錯誤を繰り返した藤浪は、一時は「リリースの感覚がない」とまで口にするほどに苦悩。過去の試合映像、トラックマンデータなど、あらゆる資料も見直した。

 グラウンドから離れると、京都の寺院で座禅、写経にもチャレンジ。外へのアンテナも張り巡らし、ダルビッシュ有(現サンディエゴ・パドレス)の助言を仰ぐために18年オフにはアメリカに飛んだ。現地でトレーニングしていたクレイトン・カーショー(ロサンゼルス・ドジャース)からヒントを得て、グラブを頭上に掲げるフォームもシーズンで試行。入団時のワインドアップからセットポジション、ノーワインドアップ、二段モーションと、その時の状態や本人の感覚に応じて試せるものは、すべて取り入れた。
 
 それでも、思うように結果が付いてこなかった。気づけば、先発ローテーションで唯一無二の存在だった圧倒的なパフォーマンスは鳴りを潜めた。2020年シーズンの終盤からはプロ入り初の“新天地”である中継ぎとして、復活のきっかけを探った。

 あらためて先発として勝負すると決意して臨んだプロ9年目の今季は、「今までは自分の中で探っている状態だった。これと思いながら、違う…の繰り返しだったんですが“こういう道”っていうのが定まりました」と、春季キャンプからさまよい続けた迷路の出口を見つけたように手応えを口にしていた。

 藤浪の1年目からボールを受け続け、苦しんできた道のりも知る女房役の梅野隆太郎も「今年はすごく良いと思う。(右打者の内角に)抜けるボールもないし、ここ何年かの状態とは全然違う」と称え、矢野燿大監督の意向でキャリア初の開幕投手にも指名され、再上昇への道筋は見えていた……はずだった。
 
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号