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プロ野球

打率1割台、外野出場10試合でも票が入る「ベストナイン」。史上8人目の投手五冠でも満票選出されない理由を知りたい<SLUGGER>

新井裕貴(SLUGGER編集部)

2021.12.15

 ダントツの支持を集めた山本由伸(オリックス)。しかし、彼が満票選出でないことにも驚かされた。

 山本は防御率(1.39)・勝利(18)・勝率(.783)・完封(4)・奪三振(206)でリーグトップに立ち、プロ野球史上8人目の投手五冠を成し遂げた。票が入った宮城大弥(オリックス)、益田直也(ロッテ)、千賀滉大(ソフトバンク)も素晴らしい投手ではある。しかし、「歴史的」と言ってもいい快投を演じた山本よりも「ベストナイン」にふさわしかっただろうか。

 先に発表されたゴールデン・グラブにしても、新聞・通信・放送各社に所属し、プロ野球取材経験5年以上の記者による投票で決定される。選手に近い距離感で、毎試合のように球場に足を運び、生のプレーを見てきた記者が票を投じたのだから、そこには明確かつ絶対的な理由があるはずだ。
 
 しかし、日本のアウォード投票では、「誰が」「どの選手に」「どんな理由で」投票したのかが明かされることはない。SNSなどで自身の投票内容を明かす記者もいるが、ごく一部に過ぎない。

 一方、メジャーリーグでは、どの媒体に所属している誰が、どんな順位で投票したのかが明確にされる。当然、投票内容に納得のできないファンから理由を問い詰められることもあるが、大半の記者は臆することなく投票の根拠をしっかりと説明している。

 毎年提言しているが、プロ野球のアウォード投票も公開制での記名形式を導入するべきだ。真剣に投票している記者が大半のはずだが、一部に「担当チームへの忖度」を疑われるような投票をする記者が“悪目立ち”してしまっている。しかも、批判の矛先が記者本人ではなく、選手に向かってしまうのもおかしな話だ。こうした流れになってしまうのも、すべては“非公開投票”というシステムに問題がある。

 アウォード投票形式における「ベスト」なやり方とは何か。答えはもう、一択である。

構成●新井裕貴(SLUGGER編集部)
 
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