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プロ野球

竜の若大将は長打力向上を目指すも不発。新天地で振るわなかった“北のジャイアン”【セ6球団の“逆MVP”】<SLUGGER>

出野哲也

2021.12.16

▼広島:クロン

 外国人選手の目利きに定評がある広島だが、今季はほぼ全員が不振だった。中でも一番期待外れだったのがクロン。マイナーリーグで抜群の成績を残した強打者であるだけでなく、キャンプでも熱心に練習に取り組んでいて、性格面では間違いなく優良外国人だった。

 ところが肝心のバッティングは、変化球攻めに対応できず三振の山を積み重ねた。首脳陣から指導されたダウンスウィングも試みたものの、結果が出ないまま退団が決定。130打数で8二塁打、6本塁打はそこまで悪くなかったけれども、たった6四球の選球眼が命取りになった格好だ。
 
▼中日:高橋周平

 中日打線が歴史的な貧打に苦しんだ最大の要因は高橋の不振にあると言っても過言ではない。前年は初の3割をクリア。さらなるステップアップをとパワー向上を目指して臨んだシーズンだったが、終わってみれば137試合でわずか5本塁打。打率も低迷し、OPSは.662と低迷した。

 おまけに得点圏でも打率.190はリーグワースト2位、21併殺打はワーストと、とことん苦しんだ。「体を開きたくないと意識しすぎて前に突っ込んでいた」ことに気がついたのは、シーズンも押し詰まってからだったらしいが、コーチ陣も含めて「もっと早く気づいてほしかった」というのがファンの総意だろう。

▼DeNA:上茶谷大河

 ほぼ総崩れだった今季のベイスターズ先発陣の中でも、最も期待外れだったのが上茶谷だ。開幕ローテーション入りしながら、4月の4先発で防御率10点台。24日の阪神戦は1回6失点と大炎上し、早々に二軍落ちとなった。その後もファーム暮らしが長引き、5~9月は1試合投げただけ。シーズン初、そして唯一の勝利は10月8日になってからだった。

 昨年は右ヒジ痛で11試合の登板に終わったこともあり、ケガをしにくい投球フォームを取り入れたものの、球威自体が落ちてしまいサイドスロー気味に修正するなど、試行錯誤したままで終わってしまった。

 文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『プロ野球 埋もれたMVPを発掘する本』『メジャー・リーグ球団史』(いずれも言視舎)。
 

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