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プロ野球

【2000~15ドラフト総検証:第2回】山田哲人と柳田悠岐を輩出した10年が最も豊作。一方で丸が指名された07年は“不作”に<SLUGGER>

出野哲也

2022.01.01

 10年に次いで2番目の合計PV1619.7を記録したのは06年で、こちらも史上5番目の大豊作。10年は大成功だったチームがある一方、合計PVが10に満たないチームも5つあるなど格差が大きかった。その点、06年はPV70以上が8球団あって、10未満は3球団しかない。平均的にどのチームも収穫があって、こちらの方が本当の意味で実りがあった年と言えるかもしれない。

 06年は指名対象が高校生と大学・社会人に分かれる分離ドラフトの時期に当たり、坂本勇人(巨人1位/通算PV533.5)を筆頭に、田中将大(楽天1位/190.2)、前田健太(広島1位/186.4)、梶谷隆幸(横浜3位/133.7)、會澤翼(広島3位/114.4)ら、高校生ドラフトで指名された選手たちが大成功を収めた。

 田中は伝説の24勝0敗を記録した13年にリーグ1位のPV54.1。この数字は、パ・リーグの投手では80年の木田勇(66.4)以来32年ぶりの高水準だった。前田も12年から4年連続で10位以内に入り、2人がメジャーリーグへ行っていなければ10年に匹敵する結果になっていた可能性もある。

 大学・社会人ドラフトでは岸孝之(西武1位)の136.7がトップ。11年に防御率0.41でPV25.9を記録してMVPにも選ばれた浅尾拓也(中日3位)も通算65.0を稼いでいる。阿部慎之助(巨人1位/664.3)、中島裕之(西武5位/305.5)、内川聖一(横浜1位/121.5)が輩出した00年のドラフトも豊作で、総PV1320.5は史上8位だった。

 青木宣親(ヤクルト4位/317.5)、鳥谷敬(阪神自由枠/314.1)の早稲田大コンビに、近畿大の糸井嘉男(日本ハム自由枠/304.3)と大学生の当たり年だった03年も9位の1259.6といったように、2000年以降のドラフトは豊作年が多い。

 では逆に、この期間で「最低」のドラフトだったのはいつだろうか。数字上では、岡本和真(巨人1位、通算PV87.6)らが指名された14年になる。合計PV288.9は、65年以降51年間のドラフトでは48番目の低さだ。

 もっとも、この年の選手たちは指名からまだ7年しか経っていない。高卒でプロ入りした選手たちがようやくレギュラーに定着する頃で、事実、宗佑磨(オリックス2位)や淺間大基(日本ハム3位)は21年に初めて規定打席に到達した。

 通算PV31.2の中村奨吾(ロッテ1位)や、同20.8の栗原陵矢(ソフトバンク2位)らも、今後数字を伸ばしていく余地は十分に残っている。とは言っても、前年の13年は3倍以上の合計PV915.5、翌年の15年も2倍近い545.2を記録しており、その意味ではやはり不作に数えられても仕方がない。

 ある程度結果が固まっている年では、07年が合計PV514.3と低めだ。しかも、PV322.1の丸佳浩(高校ドラフト広島3位)がいながらこの数字。丸と宮西尚生(日本ハム大社2位/PV90.1)以外には、PV40に達している者すらいない。この年一番の目玉で、高校1位で日本ハム入りした中田翔も21年の大不振(-11.1)が響いて通算10.5まで下がってしまった。PVマイナスのチームも5球団あって、外れ年と言わざるを得ないだろう。

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『メジャー・リーグ球団史』『プロ野球「ドラフト」総検証1965-』(いずれも言視舎)。
 

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