変化球の得意不得意は生まれ持った指先の器用さなど、先天的な要素も大きく影響する。目標に掲げる「日本一の投手」になるため、吉田の場合は打者の手元で伸びる、質の高い直球をさらに向上させる方がより現実的だろう。
実際、昨季の2軍戦では、試合序盤を直球のみに制限して臨み、意図的に強化を図っていた。まだ21歳と伸びしろは十分に秘めている。昨年8月にはイースタン・リーグ月間MVPを獲得するなど、飛躍に向けた足場も整いつつある。
新指揮官へのアピール度も上々だ。マスコミにもNGなしでリップサービスするビッグボスだが、監督就任後の選手に対するコメントは清宮、杉谷ら一部をのぞいて控えめ。そのなかで吉田は、秋季キャンプのブルペン投球で直球を絶賛され、オフには襟足の伸びた髪形も「切った方がいい」と勧められた。期待の大きさは、ひしひしと伝わってくる。
春季キャンプでは新庄監督が指導を依頼した元阪神の守護神、藤川球児氏から直接手ほどきを受け、火の玉ストレートの極意を授かった。1月下旬の新型コロナ感染による出遅れはあったが、今後行なわれる実戦での結果次第では、開幕1軍入りも十分狙える位置につけている。
ビッグボス新体制になり、開幕ローテーションは依然として予測不可能だ。それでも背番号18が、新たに幕を開ける新庄劇場の主役候補であるのは間違いない。
構成●THE DIGEST編集部
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