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MLB

元ヤクルト・風張蓮も米国へ“輩出”。「アジアンブリーズ」が提供する、アメリカ球界への新たな『移籍』の形

中島大輔

2022.03.15

さまざまな経歴のある選手が集うのがアジアンブリーズの特徴。この経験は広い意味で野球を深めることにもつながる。写真提供:アジアンブリーズ

さまざまな経歴のある選手が集うのがアジアンブリーズの特徴。この経験は広い意味で野球を深めることにもつながる。写真提供:アジアンブリーズ

 現在29歳の風張は東京農業大北海道オホーツク時代から高いポテンシャルを注目され、2014年ドラフト2位でヤクルトに入団。1年目から一軍で投げ、18年には53試合登板と中継ぎとして活躍したが、その後は思うような成績を残せず、20年限りで契約満了。昨季は合同トライアウトを受けてDeNAに加入したが、オフに自由契約となった。再び合同トライアウトに参加したものの手を挙げるNPB球団はなく、新たな選択肢を示したのが色川氏だった。

 一念発起した風張はアリゾナスカウティングリーグでアピールし、アトランティック・リーグに今季から加盟するケンタッキー・ワイルドヘルス・ゲノムスと契約合意に至った。アトランティック・リーグはMLBの「3A相当」とされ、アメリカの独立リーグでは最もレベルが高いと言われる。新天地でアピールできれば、さらなる道が開けるかもしれない。
 
 一方、高校時代から「ドラフト候補」と言われながら、花開かずに今後を模索中の選手もいる。昨季限りで社会人野球のホンダ鈴鹿を退団した内山竣だ。左打ちの外野手は静岡高時代から注目され、明治大では日本一も経験。ホンダ鈴鹿では2年続けてレギュラーを張ったが、プロには届かないまま退団した。まだ20代中盤で、色川氏は「上でやれる選手」と才能を見込んでいる。

 そうしてアジアンブリーズへの参加を決めた内山は、アリゾナでスプリング・トレーニングを行うMLB傘下のマイナーチームと3月中旬まで連日のように練習試合を行った。

 ドジャースは右腕投手のライアン・ペピオット、打撃センスが評価されるライアン・ブッシュなど、球団内のトップ有望株が出場。アスレティックスでは100マイル(約161キロ)の豪腕や、昨季途中まで巨人に在籍したエリック・セームズらと対戦した。相手マウンドにはドミニカ人や台湾人投手も登り、ベンチには女性コーチもいる。当たり前のようにダイバーシティが存在する環境は、日本ではなかなか味わえないものだった。

 こうした世界こそ、色川氏が見せたかったものだ。
 
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