専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
プロ野球

「クビになることも覚悟してるんで」――阪神・江越大賀の決意。“12球団で一番もったいない選手”はこのまま終わるのか

チャリコ遠藤

2022.03.17

守備固めでの出場機会はあっても打席に立てないもどかしい日々を過ごした江越(25番)。そのなかで本人は決意を新たにしている。(C)THE DIGEST

守備固めでの出場機会はあっても打席に立てないもどかしい日々を過ごした江越(25番)。そのなかで本人は決意を新たにしている。(C)THE DIGEST

「何かを変えないといけない」。そう決意を新たにし、今年1月には、昨年のパ・リーグ本塁打王の杉本裕太郎(オリックス)と合同自主トレを敢行した。昨年まで同僚だったジェリー・サンズから「杉本が良いスイングをしている」と助言を受けたことがきっかけで、弟子入りを志願した。

 自身と同様に、確実性が低く自慢の長打力を生かせていなかった未完の大砲が打率.301、32本塁打と大化けした秘けつを約2週間の限られた自主トレ期間で必死に吸収した。見えてきたのは、「バットの面をボールの軌道に長く入れるイメージ」とギリギリまでヘッドを返さず、捕手寄りにポイントを近づける“ラオウ打法”の基礎。

 外角の変化球に我慢できずバットを振り回していた江越にも合致するフォームで、「飛距離よりも確率というところで、この打撃フォームをやっている」と意図を明確にし、1月から打撃改造に着手してきた。

 インコースに詰まりながらもスタンドインさせたヤクルト戦のアーチは、「詰まってOKだと思っている。良い打撃ができた。(確実性も上がって)飛距離が落ちないということは、自分にはすごいプラスなので」と自己分析したように、新打撃フォームがなせる究極の打球なのかもしれない。

 ただ、現時点でレギュラー争いという視点で見れば、厳しい立場に立たされている。左翼の候補としてメル・ロハスJr.や糸井嘉男、若手の島田海吏らとオープン戦では出場機会を分け合っている。

 開幕が近づくにつれ、直近のスタメンを見ていけば、基本はロハスと糸井が併用される形で先発するプランが見えてくる。江越は、16日時点でオープン戦での打率は.200。途中出場から巡ってくる1打席でインパクトある結果が求められる。

 開幕1軍入りを決めても、おそらくシーズン当初も、起用法に大差はない。限られた機会で結果を積み上げていき、レギュラー選手が不振に陥った時に取って代わる1番手になっていられるか。首脳陣は両打ちのロハスの左打席を評価しており、島田、糸井も左打者。右打ちの“強み”も生かしたいところだろう。

「守備、走塁はできて当たり前。そういう風に見られていると思う」と言うように、新打法の成果が命運を握る。矢野燿弘監督は、江越を含めたレギュラー争いを繰り広げる外野手に対して、「もっと突き上げが欲しいなかで、出てくるのをこっちも待っている」と期待する。江越の覚醒は、17年ぶりのリーグ優勝を目指すチームにとって何よりの打線強化、補強になることは間違いない。

 2年目までに計12本塁打を放ち、プロの世界で頭角を現したものの、そこから立ちはだかり続ける大きな壁。一時はスイッチヒッターへの転向を模索するなど歩んできた7年間のキャリアは苦闘の軌跡と言っていい。

 それでも、やっぱり諦められない。一度、見たら忘れられないスケール感。プレーボールからゲームセットまで虎の背番号25が躍動する毎日は、夢のまま終わってしまうのか。

取材・文●チャリコ遠藤

【関連記事】同世代の大谷翔平は遠い存在に。どん底を味わった北條史也が、いま牙を研ぐ理由「無理やったら終わり」

【関連記事】追い込まれた藤浪晋太郎が“エゴ”を貫く理由。苦境でも忘れなかった「野球やっているなかで気持ちのいい瞬間」

【関連記事】異例だった開幕前の退任発表。矢野監督の言葉に「正直あまり聞きたくなかった」と漏らした虎戦士の掲げる想い
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号