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大学野球

野村克也が「天才」と認めた巧打者、大学球界屈指の打力見せた松坂世代のスラッガー【本当に長打力があった社会人・大学生5選】

西尾典文

2022.03.24

2位:渡部健人(桐蔭横浜大)

“おかわり三世”として期待がかかる巨漢のスラッガーを2位とした。高校時代から東京都内では評判の強打者だったが、本格化したのは大学最後となった4年秋のシーズン。10試合で8本塁打、23打点という驚異的な成績を残してチームの優勝に大きく貢献。そして強烈な印象を残したのがリーグ戦後に行なわれた横浜市長杯の中央学院戦だ。

 2回裏の第1打席に放った打球はレフトスタンド最上段へ着弾する特大ホームランとなったのだが、その打球の勢いと飛距離は今まで見たどのホームランよりも凄いものだった。この大会でのホームランは結局この1本だけだったが、その後の試合でも鋭い当たりと長打を連発し、ドラフト1位での指名を納得させる活躍だった。

 プロ1年目の昨年は二軍で19本塁打を放つなどその長打力を発揮している。それだけに、今年は一軍でも特大アーチを量産してくれると期待したい。

1位:西郷泰之(三菱自動車川崎→三菱ふそう川崎→Honda)

 社会人のホームランバッターと言えば、やはり西郷がナンバーワンになるだろう。5位の草野のところでも触れたが、金属から木製になっても変わらぬ長打力を発揮し、都市対抗で放ったホームランは歴代最多タイの14本。体格は大柄だがそのスイングは力感に溢れているというよりも元々決められたスペースにバットを通しているような印象を受ける。ホームランはパワーだけでなく技術で打つという認識を与えるようなバッティングだった。

 35歳を過ぎてもチームの中軸としてホームランと長打を放ち、都市対抗優勝6度が示すように、チームの勝利に対する貢献度の高さも光った。所属チームの休部により移籍こそしたが、高校を卒業して社会人球界で25年にわたって第一線でプレーし続けたのは見事という他ない。

 他の候補としては林稔幸(SUBARU)、多幡雄一(Honda)、松田宣浩(亜細亜大)、神戸拓光(流通経済大)、吉田正尚(青山学院大)、大山悠輔(白鴎大)、岩見雅紀(慶応大)、佐藤輝明(近畿大)などの長打も印象深い。

 スラッガーというと、ポテンシャルへの期待もあり、どうしても高校生に注目が集まりやすい。だが、近年は吉田、大山、佐藤など大学卒の強打者も活躍している。それだけに、今後も大学、社会人で大きく開花する長距離砲が出てくることを期待したい。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。

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