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高校野球

【センバツで評価を上げた投手5人】“大会の顔”となった近江・山田や浦和学院・宮城、市和歌山・米田の評価が急上昇!<SLUGGER>

西尾典文

2022.04.02

●川原嗣貴(大阪桐蔭) 
 背番号10ながら、エース格として十分な活躍を見せてチームの優勝に大きく貢献した。3試合、18イニングを投げて防御率1.50、奪三振率9.50、1イニングあたりの被安打と与四球を示すWHIPは0.78と、いずれの数字も見事という他ない。  

 昨秋までは下半身が弱く、長身を持て余している印象が強かったが、この冬で明らかにフォームの安定感が増し、ボールの力もコントロールもレベルアップ。ゆったりとしたモーションと長いリーチを生かした豪快な腕の振りは一級品で、ストレートは数字以上の勢いが感じられた。コーナーにしっかり投げ分ける制球力があり、カットボールやカーブなど変化球のレベルも高い。貴重な大型右腕として夏も高い注目を集める存在となりそうだ。 
 
●富田遼弥(鳴門) 
 1回戦で敗れたものの、強打の大阪桐蔭を相手に3失点完投と見事な投球。ストレートは130キロ台後半だが、ボールの出所が見づらいフォームでタイミングをとるのが難しい。また強打者を相手にも内角の厳しいコースを攻められるコントロールは素晴らしく、大阪桐蔭の強打者も窮屈なスイングで詰まらされる場面が多かった。 

 スライダー、チェンジアップも腕を振って投げられ、変化球のレベルも高い。コロナ禍で対外試合ができず、ぶっつけ本番の大舞台で力を発揮したのも称賛に値する。敗戦後には進学を考えているともコメントしていたが、順調に成長すれば先輩の河野竜生(日本ハム)のようなサウスポーになれる可能性は高いだろう。 

文●西尾典文 

【著者プロフィール】 
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。 
 
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