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プロ野球

「ど真ん中でも気持ちが入ってないからボール」「判定に不服の投手と20秒も睨み合い」日米名物審判の仰天エピソード集<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2022.05.01

▼“事件”の話題も豊富だったMLB史上最高の名物審判

 MLBの史上最大の名物審判はジョー・ウェストだろう。ウェストは76年からメジャーで審判を務め、50年近いキャリアで史上最多の5376試合を裁き、2021年を最後に引退した。自らのジャッジには絶対の自信を持ち、「オレの判定に何か文句があるのか?」とばかりの強気な態度を崩さなかったことでもよく知られる。

 一方で誤審も少なくなく、昨季は大谷翔平(エンジェルス)がその被害に遭ったことで日本でも話題となった。特に晩年は高齢ということもあってか、ボストン大学の調査で1試合あたり2.3回もの誤審を下していたとの結果が出たこともあった。

 当然、選手や監督と騒動になることもあった。15年9月には度重なる四球の判定が気に入らなかったマディソン・バムガーナー(当時ジャイアンツ)が、マウンドからウェストを鋭くにらみつけた。するとウェストはその視線を真っ向から受け止め、約20秒にわたって両者一歩も譲らぬにらみ合いが発生。

 一触即発の事態に球場は異様な雰囲気に包まれ、捕手のバスター・ポージーも不安げな表情で2人の顔を交互に見つめていたが、最終的にバムガーナーが視線を外してウェストが“視殺戦”に勝利。ゲームは何事もなかったように再開された。
 
 黒子としての役割が求められる審判としてはかなり自己顕示欲が強いことでも知られ、シンガーソングライターとしてこれまで2枚のアルバムをリリースしている。また、引退した後はさっそくポッドキャスト配信も開始するなど今も元気に活動している。

 そんな審判にあるまじき(?)目立ちたがり屋ぶりが災いしたのか、試合とは関係ないところでやらかしたこともある。17年6月に『USA TODAY』紙のインタビューに応じた際、「一番口うるさい選手は誰ですか?」と質問され、「エイドリアン・ベルトレー(当時レンジャーズ)だね。(中略)彼はMLB最大のクレーマーだよ」などと答えたため、3試合の出場停止処分を受けている。

 ただ、選手たちからはリスペクトも受けていた。同年のオールスターで球審を務めた際は、代打として登場したネルソン・クルーズ(当時マリナーズ)が、打席に入る前に「あなたはレジェンドだ」とウェストに歩み寄り、一緒に写真を撮りたいと依頼。ウェストも快く応じ、捕手のヤディアー・モリーナの撮影で仲良く2ショット。この年のオールスターの象徴的な場面の一つとなった。クルーズの言う通り、ウェストがレジェンドであるのは間違いない。とにかく毀誉褒貶の激しい審判だったのだ。

構成●SLUGGER編集部
 

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