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「その男、狂犬につき」前代未聞のビンタ事件を起こしたファムは過去にも数々の問題を起こしていた“札付き”だった!<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2022.05.29

 しかも今年4月、今度は古巣パドレスに喧嘩を売った。レッズの正捕手タイラー・スティーブンソンを負傷させたルーク・ボイトに対して、「あいつがその気なら何だってやってやる。ムエタイでも、ボクシングでも何でもな」と“口撃”。ここでも格闘技の腕前に言及しており、よほど自信があるらしい。

 まさに“狂犬”という表現がぴったりのファムの性格は、生い立ちに起因しているようだ。父親は麻薬や路上強盗などの犯罪を繰り返して30年以上の懲役刑を科され、ファムが生まれた当時は塀の中にいた。母はファムと双子の弟を養うために、いくつも仕事をかけ持ちしていたため、あまり息子たちを可愛がってあげることができなかった。さらに、ファムは5歳の時に母が再婚した継父とも仲が悪く、25歳の時には彼に刺されたことさえあったという。

 06年にドラフト16巡目でカーディナルスに入団してからも、苦労は続いた。マイナー時代は故障が重なっただけでなく、円錐角膜という難病を患っていたことも発覚。これは角膜の異常で乱視などが発生する病気で、09年に専用のコンタクトレンズを着用するまで、ファムは本来の実力を最大限に発揮することができなかった。このため、メジャーデビューを果たしたのは14年9月、当時26歳とかなり遅咲きだった。
 
 ピーダーソンいわく、ファムと直接顔を合わせたのはビンタ事件の時が初めてだったという。おそらく、ファムのこうした複雑な生い立ちや激しい性格のことは知らなかったのだろう。もし知っていれば、冗談でも喧嘩を売るような発言はしなかったに違いない。

 しかも質が悪いことに、ピーダーソンたちとのファンタジー・フットボールではどうやらかなりの金を賭けていた様子。ファム自身「大金がかかっていた」「俺はたくさんのカジノで“ハイ・ローラー”(大金を賭けるギャンブラーのこと)として名が通っているんだ」と豪語している。

 今回の事件を受けて、3試合の出場停止処分を受けたファム。この程度の処分では、“狂犬”ぶりは変わらなそうだが……。

構成●SLUGGER編集部
 
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