リーグ平均の打者を100とした時、どれだけ得点増に貢献したかを示す「wRC+」という指標がある。これは球場補正もかけられており、年度ごとに打撃力の傑出度を比較することも可能だ。
昨年の大谷は、打率や出塁率こそ高くなかったが、圧倒的なパワーを発揮したことで強打者として台頭。50試合時点ではリーグ6位のwRC+145を記録していた。だが、今季はリーグ24位の125まで後退している。先に述べた通り、wRC+は年度ごとのリーグ平均を基に算出される。つまり、今季の投高打低という環境も踏まえた上で、大谷の打者としての貢献度が下がっていることを意味しているのだ。
スタットキャストの各指標を見ると、特に長打量産に関連する項目で昨年と比べて大きく違う点がいくつかある。その中でも、特に注目したいのが平均打球角度とハードヒット%(初速95マイル以上の打球の割合)だ。それぞれ、昨季の最終成績と比較すると次のようになる。
打球角度 16.6度→12.6度
ハードヒット% 53.6%→44.8%
試合を見ていても、今季の大谷はひっかけたような当たりが多く、なかなか打球が上がらない印象が強いが、この2つの指標はその印象が正しいことを裏付けている。相手の研究が進んだこともあり、なかなか自分の思うような打撃ができていないことは間違いないだろう。
もう一つ、カギを握るのがチェンジアップだ。ここまで打率.152、0本塁打とまったく打てておらず、空振り/スウィング率も32.4%とかなり高く、最近は相手投手が明らかにチェンジアップを軸に攻めていることがよく分かる。
このチェンジアップに意識がいっているのか、対4シームの成績も昨年の打率.252、長打率.524から.211/.421と悪化している。相手がアジャストすれば、自分もそれにアジャストしなければならないのがメジャーリーグ。大谷は今、新たな壁に直面していると言っても過言ではないだろう。
もっとも、シーズンはまだこれから。昨季の大谷も6月、しかも15日からの13試合で11本塁打と大爆発して月間MVPを受賞した。果たして今季もあの猛打を再現することができるのか。夏が近づくにつれ、大谷のバットが火を噴くことを期待したい。
構成●SLUGGER編集部
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昨年の大谷は、打率や出塁率こそ高くなかったが、圧倒的なパワーを発揮したことで強打者として台頭。50試合時点ではリーグ6位のwRC+145を記録していた。だが、今季はリーグ24位の125まで後退している。先に述べた通り、wRC+は年度ごとのリーグ平均を基に算出される。つまり、今季の投高打低という環境も踏まえた上で、大谷の打者としての貢献度が下がっていることを意味しているのだ。
スタットキャストの各指標を見ると、特に長打量産に関連する項目で昨年と比べて大きく違う点がいくつかある。その中でも、特に注目したいのが平均打球角度とハードヒット%(初速95マイル以上の打球の割合)だ。それぞれ、昨季の最終成績と比較すると次のようになる。
打球角度 16.6度→12.6度
ハードヒット% 53.6%→44.8%
試合を見ていても、今季の大谷はひっかけたような当たりが多く、なかなか打球が上がらない印象が強いが、この2つの指標はその印象が正しいことを裏付けている。相手の研究が進んだこともあり、なかなか自分の思うような打撃ができていないことは間違いないだろう。
もう一つ、カギを握るのがチェンジアップだ。ここまで打率.152、0本塁打とまったく打てておらず、空振り/スウィング率も32.4%とかなり高く、最近は相手投手が明らかにチェンジアップを軸に攻めていることがよく分かる。
このチェンジアップに意識がいっているのか、対4シームの成績も昨年の打率.252、長打率.524から.211/.421と悪化している。相手がアジャストすれば、自分もそれにアジャストしなければならないのがメジャーリーグ。大谷は今、新たな壁に直面していると言っても過言ではないだろう。
もっとも、シーズンはまだこれから。昨季の大谷も6月、しかも15日からの13試合で11本塁打と大爆発して月間MVPを受賞した。果たして今季もあの猛打を再現することができるのか。夏が近づくにつれ、大谷のバットが火を噴くことを期待したい。
構成●SLUGGER編集部
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