久々の一発は貫禄を漂わせるものとなった。

　現地時間５月９日、ロサンゼルス・エンジェルスの大谷翔平は、本拠地で行なわれたタンパベイ・レイズ戦に「３番・DH」で先発出場。実に10日ぶりとなる今季第５号のホームランと、キャリア初となる満塁ホームランとなる第６号を放った。

　直近の数試合でレフト方向への強い打球を打ち始めていた大谷。そんな“覚醒”の雰囲気を漂わせたなかで、ようやく待望の一発が飛び出したのは、６回だった。

　レイズの２番手ジャレン・ビークスと対峙すると、その初球、真ん中に甘めに入ってきた81.1マイル（約130.5キロ）のカットボールを豪快にフルスイング。打ち上げるように放った打球はレフトへ高々と舞い上がりながら、ぐんぐんと飛距離を伸ばし、左中間スタンドへ飛び込んだ。

　４月29日のシカゴ・ホワイトソックス戦以来の一発で勢いづいた偉才は、もう止まらない。７回裏に迎えた第４打席でも千両役者ぶりを発揮する。
【動画】自身初のグランドスラム！確信歩きの２打席連続弾に本拠地熱狂

　無死満塁の絶好機で、レイズのルーキー、カルビン・フォーチャーと対峙した大谷は、カウント１-３から投じられたまたも真ん中に食い込む88.4マイル（約135.8キロ）のカットボールをジャストミート。ふたたび逆方向へかっ飛ばした打球は、みるみるうちに飛距離を伸ばしてレフトスタンドに突き刺さった。
　日本ハム時代を通じてもキャリア初となるグランドスラムに、エンジェルス・ファンの詰めかけたスタンドは、大いに沸き立った。当然ながら、この大谷の２連発には、現地記者からも賛辞が相次いでいる。米放送局『Fox Sports』のアナリストであるベン・バーランダー氏は「今年のショウヘイ・オオタニは本当に楽しい。こうして勝つことで世界を一変させている」と絶賛した。

　さらに米メディア『Baseball Savant』などに寄稿するジャレッド・ティムス氏も、「この男は本当にすごい」としたうえで、こう続けた。

「ショウヘイ・オオタニは野球史上最高の逆方向へのパワーを持っているかもしれない」

　昨季の快進撃を彷彿とさせる２打席連続弾を放った大谷。開幕から打撃面でスランプも囁かれていただけに、球界屈指の天才はようやく“目覚めの時”を迎えたと言えるだろう。

構成●THE DIGEST編集部

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