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MLB

大谷と大型長期契約を結べば勝利はさらに遠のく?エンジェルスが抱える“究極のジレンマ”<SLUGGER>

久保田市郎(SLUGGER編集長)

2022.06.17

 ならば、大富豪スティーブ・コーエンがオーナーを務めるメッツのように、戦力均衡税などお構いなしに“爆買い”路線を突っ走ればいい。だが、エンジェルスのオーナー、アート・モレノは先の労使交渉で戦力均衡税の引き上げに最後まで強硬に反対していた人物だ。

 つまり、エンジェルスが大谷と延長契約を結び、その上で勝つのは限りなく“無理ゲー”に近いということだ。仮に今季プレーオフに出場できたとしても、その状況が劇的に変わることはない。

「エンジェルスとしては、大谷と契約延長しなけばらならない。だが、彼と契約延長したら、勝てない」
 
 これは現地16日、『ニューヨーク・ポスト』紙のジョン・ヘイマンがライバル球団幹部のコメントとして紹介したものだが、発言の背景にはこのような事情があるのだ。

 エンジェルスのペリー・ミナシアンGMは来シーズン終了まで、いかに大谷が素晴らしい選手か、いかに球団が大谷との再契約を強く望んでいるかを熱っぽく語り続けるだろう。

 その思いに嘘はないかもしれない。だが、大谷が何よりも強く求めている「勝ちたい」という希望を叶えるためには、ファーム組織を短期間で劇的に改善させるか、オーナーを説得して超大型補強路線に突き進むか、あるいはトラウトを放出するなどの“超ウルトラC”を繰り出すしかない。残念ながら、そのいずれも現実のものとなる可能性は低いだろう。

文●久保田市郎(SLUGGER編集長)
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