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プロ野球

もし根尾昂が日本ハムに入団していたら…大谷翔平の二刀流プロジェクトを成功させた強い信念と育成力に再び脚光<SLUGGER>

出野哲也

2022.06.17

 こうした状況を見るにつけ、大谷翔平を二刀流選手として大成功させた日本ハムのビジョンと育成力の見事さが改めて際立ってくる。
 12年のドラフトで1位指名し、投手と野手両方させるという条件で大谷の入団にこぎ着けた日本ハムは、多くの批判を浴びながらもその方針を曲げなかった。

 大谷は早くも2年目に2ケタ勝利&2ケタ本塁打を達成。15年は打撃成績が大幅に下降して「投手に専念すべき」との声が再び高まったが、当時の栗山英樹監督も、大谷自身もそうした雑音には一切耳を貸さなかった。そして翌16年にはMVPに輝き、チームも日本シリーズを制覇。今ではメジャーリーグを代表するスーパースターとなったのはご存じの通りだ。

 確かに、根尾と大谷では素材としてのスケールが違うので比較の対象とするのは不公平かもしれない。160キロの速球を投げ、160キロの打球を飛ばす怪物はそうそう現れないからだ。
 大谷にしても、早い時期に投打で結果を出していなければ、違った成り行きになっていた可能性もゼロではない。しかし二刀流の前例がなかった当時、彼に向けられる批判は今の根尾よりもはるかに厳しいものだった。そんな状況でも、球団も首脳陣も信念を持って当初の方針を貫いた。この姿勢こそ、中日の根尾の扱いに決定的に欠けているものだ。

 18年のドラフトでは日本ハムも根尾に入札しており、クジを引き当てていたら、当初から二刀流を視野に入れて育成したと考えられる。実際、今もファイターズには不完全な形ながら二刀流を試みている上原健太がいる。今年のドラフトでも、大学球界屈指の二刀流として注目の矢澤宏太(日体大)を1位候補筆頭に挙げているという。

 ロマンチストの栗山前監督が「根尾が両方やるのは、オレの中では決まっている」などと言い、遊撃手として起用しながらマウンドにも立たせる……という形になっていたのは容易に想像がつく。

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