中日での成績を見る限り、日本ハムに入っていても根尾は一軍で大活躍してはいなかった可能性も十分ある。投手としての能力を評価し、結局は今と同じ道を辿っていたかもしれない。

　けれども日本ハムという球団は、良くも悪くも常識に囚われず、メディアやファンの批判にも動じないチームだ。少なくとも、腰が据わらずポジションをたらい回しにして、時間を無駄にすることはなかったのではないか。 　いずれにしても、根尾は投手だと決めた以上、結果が出るまで立浪監督には忍耐が必要だ。「やっぱり野手へ再々転向します」というニュースを半年後に目にするようなことはあってほしくない。

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『プロ野球 埋もれたMVPを発掘する本』『メジャー・リーグ球団史』（いずれも言視舎）。