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MLB

問われるロボット審判を巡る“是非”。現役審判と選手は何を語る?「ロボ審判とは異なるコールを何度もしたよ」。 <SLUGGER>

豊浦彰太郞

2022.07.03

 野球界には、あらゆる職種に関しMLB を頂点とするヒエラルキーが形成されている。世界中の才能豊かな選手がメジャーを目指し、MLBのGMを目標とする秀才がマイナー球団のフロントオフィスで研鑽を積んでいる。審判も同様のはずだ。

 しかし、彼の指摘する通り、ロボ審判の登場によりメジャーの審判員のスタータスは低下し、下部組織やアマチュアまで含めた審判員の在り方も変わって行くかもしれない。 

 もっとも、ロボ審判是非の結論はこの先数年ではなく、数十年先、いや22世紀までも視野に入れて導き出すべきものだと思う。現時点では、アメリカにせよ、日本を含む他国にせよ、最先端機器によるロボ審判の導入はMLBと傘下の一部のマイナー以外は不可能だろう。しかし、そのうち草野球ですら、スマホのアプリでそこそこのパフォーマンスでストライク-ボール判定ができる日が来るかもしれない。 

「人のプレーを人(だけが)ジャッジする」様式はロマンチックだが、今後、世の中の電子化が一層進む前提で考えると、それに拘ることには限界があると思う。特に、ベースボールが、アメリカにせよ日本にせよ、他のエンターテイメントがあふれる中で国民的娯楽であり続けるためには。 
【動画】誤審、誤審、誤審の嵐。現地も大荒れしたストライク判定をチェック
 
 以前、クーパーズタウン野球殿堂博物館の学術研究員に野球の起源に関してインタビューしたことがある。「野球は、1839年にクーパーズタウンで、後の南北戦争の英雄アブナー・ダブルディ将軍が考案した」というおとぎ話は論外としても、その研究員は「いつ、どこで野球は生まれた、ということはあり得ない」と言い切った。 

 それこそ、人類が誕生した頃から存在するStick & ball gameが長い年月を掛け、シームレスに分化、進化を重ねた結果が現在のベースボールだ、というのだ。実際、MLB発足後もルール、運営フォーマット、技術、用具、戦術、それは常に変化し続けてきた。 

 野球殿堂博物館には、古代エジプトにもStick & ball game が存在したことを示す壁画の写真が飾られている。逆に言えば、今後もベースボールが不変であることはあり得ない。判定への電子データの活用は、歴史の必然だろう。 

文●豊浦彰太郎 

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