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高校野球

史上3度目の春夏連覇を目指す大阪桐蔭。藤浪、根尾世代のような“スター不在”のチームの強みは何か?【高校野球】

西尾典文

2022.08.06

投打ともにバランスは取れている大阪桐蔭。春からさらに成長を遂げたチームにとっての夏制覇のカギは何か?写真:塚本凜平(THE DIGEST写真部)

投打ともにバランスは取れている大阪桐蔭。春からさらに成長を遂げたチームにとっての夏制覇のカギは何か?写真:塚本凜平(THE DIGEST写真部)

 一方の野手陣はやはり松尾が中心となるが、今年のチームの特徴は中軸に頼らなくても得点を叩き出せるという点にある。大阪大会7試合の投手以外のレギュラー8人の打撃に関する数字を並べてみると以下のようになっている。

1番 伊藤櫂人:10安打7打点 打率.370
2番 谷口勇人:6安打5打点 打率.231
3番 松尾汐恩:9安打4打点 打率.333
4番 丸山一喜:10安打10打点 打率.435
5番 海老根優大:8安打1打点 打率.381
6番 田井志門:8安打7打点 打率.320
7番 星子天真:10安打6打点 打率.455
8番 鈴木塁:8安打6打点 打率.500

 今秋のドラフト候補と言われているのは、松尾と5番の海老根だが、この上記の数字で2人以外がいかに多く打点を叩き出しているかというのがよくわかるだろう。下位を打つ星子、鈴木の2人も春に比べて打撃は明らかに力強くなっており、ともに4割を超える打率をマークした。2番の谷口だけ打率は低かったが、5打点をマークし、盗塁も2つ決めるなど、持ち味はしっかり発揮している。
 
 また、7試合で18盗塁、15犠打を記録しているように足を使った攻撃や小技も駆使。さらに言うと、大阪大会でベンチ入りしていた控え野手6人のうち4人がヒットを放っており、選手層の厚さもさすがという他ない。このあたりにも飛びぬけた選手がいないからこそ、全員でカバーするという意識の強さが感じられる。相手チームにとっては、特定の数人をマークすれば良いというわけではなく、どこからでもチャンスを作って、得点できるだけに、抑え込むのも容易ではない。

 無論、そんな大阪桐蔭と言っても完璧なわけではない。歴代のチームに比べると守備面では不安が残り、大阪大会でもキャッチャーの松尾が2つ、エースの川原と主将の星子が1つずつエラーを記録。選抜でも数字には残らないミスが目立ったことも確かである。

 もうひとつ気になるのは組合せ抽選の結果だ。有力な対抗馬と見られるチームが同じゾーンには不在で、ベスト8までは比較的楽に勝ち進めるのではないかという声が多い。ただ、序盤で苦労せずに準々決勝以降でいきなり力のあるチームと対戦すると、脆さが出るというのはよく見られることである。

 それでもそんな不安要素が小さなものに感じるほど、今年のチームが充実していることは間違いない。3度目の春夏連覇、そして1998年の横浜以来となる4冠(明治神宮大会、選抜高校野球、全国高校野球選手権、国民体育大会)に向けてどんな戦いぶりを見せるのか。ぜひ、注目してもらいたい。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。

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