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トレードの可能性や日本での合宿参加の負担、そして怪我…大谷翔平のWBC出場を妨げる「要素」とは?<SLUGGER>

出野哲也

2022.08.16

 ただ、来年3月時点で大谷がエンジェルスに所属しているのなら、こうした問題とは無縁だと思われる。今季ですでに在籍5年目を迎え、大谷とチームの間には強い信頼関係が存在する。数週間にわたって離脱したところで大きな支障はないはずだ。しかも、チームメイトのマイク・トラウトはすでにアメリカ代表として参戦を宣言。大谷だけ許可しないというのは筋が通らない。

 さらに、トラウトも大谷もペナントレースでヒリヒリした戦いを経験できないなら、せめてWBCで……という思いを抱くはず(イチローもそうだった)。球団がそれすら許可しないというのは考えにくい。

 しかしながら、大谷がトレードされて新しいチームで23年を迎えることになったらどうだろう。WBCでチームを離脱すれば、新たな環境で首脳陣やチームメイトに馴染むための貴重な時間が失われる。もし大谷がベネズエラやプエルトリコの選手なら、1次ラウンドはアメリカで行われるので移動や時差の問題とは無縁で済む。

 
 だが、日本で行われる1次ラウンドに参加するとなれば、その前の合宿期間も含めてチーム離脱の期間が長くなってしまうのが痛い。新天地に移ってのFAイヤーとなれば、本来は出場を熱望するであろう大谷自身も躊躇せざるを得なくなるかもしれない。

 ただ、こうしたハードルを乗り越える「ウルトラC」があるにはある。日本での合宿と1次ラウンド、そして準々決勝ラウンド参加を見送り、マイアミでの準決勝から合流するのだ。過去には、17年に当時ドジャースの絶対的守護神だったオランダ出身のケンリー・ジャンセンが、準決勝進出が決まった時点で急きょ参戦を決めた例がある。

 大谷個人の都合を考えれば、この方がはるかに合理的だ。アメリカでキャンプインしたのち日本へ渡るのはそれだけでも手間だし、調整が遅れる原因になる。また、野手であれば連係プレーで息を合わせるために合宿から練習を積んだ方がいいが、投手兼DHの大谷には特にその必要はない。

 
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