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プロ野球

楠本のスクイズ、柴田の超絶美技、嶺井の好指示…絶好調ベイスターズを支える“番長流全員野球”の浸透<SLUGGER>

萩原孝弘

2022.08.19

 0対0で迎えた4回、2死満塁から戸郷翔征に適時打を浴びてまず1点を先制される。さらに、セカンドから大城卓三も果敢にホームを狙ってきたが、佐野、柴田(竜拓)、伊藤光のリレーで刺して流れを渡さない。

 その後、4対3と逆転に成功したDeNAは最終回、16日にセーブを挙げこそしたが、30球を費やした山﨑康晃をマウンドに送る。しかし、いきなり先頭の大城にセンター前に抜けようかという打球を飛ばされたのだが、ショート・柴田のスーパープレーが飛び出して窮地を脱した。

「最後の柴田は、先頭で一人出ると、また流れ的にもどうなってくるか分からないところをアウトにしてくれてます。その打球の直前、嶺井がちょっとショートを動かしたんですよ。細かいところかもしれないですけども、ああいうところがチーム全員で戦えていけている。柴田はスーパーファインプレーですけど、嶺井もファインプレーです」と、三浦監督は嶺井の的確な指示に賛辞を惜しまなかった。
 
 他にも、「桑原の守備範囲の広さはチームを助けてくれていますし、みんなでカバーしながら、助け合いながら一球に集中できているなとすごく感じます。毎回毎回やっていることが派手さはなくても、できるようになってきたことが大きいですね」と語った。

 佐野、牧秀悟、宮﨑敏郎、ソトを中心とした打線は破壊力十分だが、一線級の投手を相手に常に多くの得点を奪えるとは限らない。8月、広島の森下暢仁&床田寛樹、中日の大野雄大、阪神の青柳晃洋、伊藤将司らエース級ピッチャー相手にしっかり白星を挙げられたのは、決して大量得点のおかげではない。

 むしろ鉄壁のブルペン陣、持ち直した先発陣の踏ん張りと、ここぞの一打。攻守にわたって、緻密さを兼ね備えた全員野球の浸透が快進撃につながっている。超過密日程の9月。この先、“番長流ハイブリッド野球”はどこまで進化を続けるのか。ペナントレースのカギも、ここにある。

写真・取材・文●萩原孝弘 

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