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プロ野球

王貞治、落合博満、バースらはいかに“偉業”をやってのけたのか? 村上宗隆が迫る金字塔の到達者たち【三冠王列伝】<SLUGGER>

THE DIGEST編集部

2022.09.05

中日移籍後も傑出した存在感を放った落合。彼がロッテ時代に残した数字はいずれも稀有なものと語り継がれている。写真:産経新聞社

中日移籍後も傑出した存在感を放った落合。彼がロッテ時代に残した数字はいずれも稀有なものと語り継がれている。写真:産経新聞社

◆落合博満(ロッテ)
82年:打率.325/32本塁打/99打点
85年:打率.367/52本塁打/146打点
86年:打率.360/50本塁打/116打点

 どこまでも自分を貫く、孤高の"オレ流"で、史上最多3度のトリプルクラウンを手にした。

 落合が29歳で初めて達成した82年の三冠王は、今季の村上が更新しない限りは2リーグ制以降の史上最年少記録。しかし、当時、この年の成績を見た一部の評論家が「平凡」と揶揄。打撃3部門すべてトップの人間に対しては矛盾した意見だが、この“イチャモン”に落合は黙っていなかった。

「誰にも文句は言わせねぇ」とばかり、3年後に打率は当時歴代8位、本塁打と打点はともに3位の圧倒的数字で2度目の三冠王に輝くと、85年はそれぞれ2位に.027/12本/24点と差をつけ、ぶっちぎりで達成。改めてその傑出した打棒を証明した。

 86年もブーマー(阪急)や秋山幸二(西武)らとの激しいデッドヒートを制して2年連続三冠となり、パ・リーグの頂点を極めた落合はそのオフに中日へ1対4の超大型トレードで移籍。本塁打王と打点王に2度ずつ輝くものの、4度目の三冠は手にできなかった。
 
◆ブーマー・ウェルズ(阪急)
84年:打率.355/37本塁打/130打点

 助っ人の三冠王といえば後述するバースの印象が強いが、彼に先んじて外国人初の三冠王になったのが、このブーマーだ。当時のパ・リーグは前述の落合ら名スラッガーがひしめいており、その中で頂点に立った価値は高いと言える。ちなみに阪急へ入団した83年オフ。この時にはバースも獲得候補にリストアップされていたが、ブーマーが獲得できたからと争奪戦から撤退した、という興味深い経緯がある。

 来日1年目は打率3割をクリアした一方で、本塁打は17本。物足りない数字の裏にはヒザの手術から復帰したばかりという理由があった。そして全快した2年目に彼は真価を発揮した。

 助っ人としては珍しく、「本塁打よりも、コンスタントに打って走者を還すことの方が大事」という哲学を持っていた。決して個人成績だけを追い求めたわけではなく、状況に応じて右打ちに徹するなど、チーム打撃を忠実に守りながらも成績を落とさなかった。長いシーズンの中で本塁打は2位の落合に常に一定の差を保ち、打点は大差でトップをひた走った。

 この年はブーマーの他に、日本ハムのクルーズ、西武のスティーブと外国人3人が激しい首位打者争いを展開。結果はシーズン最終戦にまでもつれたが、わずか4厘差だった2位のクルーズが4打数無安打に。するとブーマーは守備固めのみで出場して7厘差で何とか逃げ切り、栄冠を手にした。
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