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プロ野球

王貞治、落合博満、バースらはいかに“偉業”をやってのけたのか? 村上宗隆が迫る金字塔の到達者たち【三冠王列伝】<SLUGGER>

THE DIGEST編集部

2022.09.05

◆ランディ・バース(阪神)
85年:打率.355/54本塁打/134打点
86年:打率.389/47本塁打/109打点

「神様、仏様、バース様」

 この名調子にある通り、バースも細かな説明は不要の“史上最高の助っ人”だ。来日1年目の83年は打率.288(21位)/35本塁打(3位)/83打点(9位)とごくごく普通の助っ人だったのだが、元首位打者の長崎啓二(当時大洋)のミート打ちや、同僚の掛布雅之の浜風に乗せて逆方向へ運ぶ甲子園独特の打ち方などを吸収。瞬く間に日本球史に残る大打者となった。

 阪神を初の日本一に導いた85年の打棒もさることながら、圧巻だったのは86年の打率。実は.389はいまだ破られていない史上最高記録だ。453打数176安打だったため、あと6安打を記録していれば、夢の4割を達成していた。

 ちなみにこの記録は、メジャー挑戦直前だった2000年のイチロー(当時オリックス)があと一歩にまで迫ったが、打率.387と2厘差で更新に失敗。それほどの“アンタッチャブル・レコード”となっている。

 87年は当時の吉田義男監督との確執が深刻化した影響もあって成績を落とし、さらに88年には長男の病気にまつわるゴタゴタで球団と対立して5月に退団。グラウンド外の問題で、圧倒的な打棒を発揮できなかったのは惜しまれるところか。
 
◆松中信彦(ダイエー※現ソフトバンク・ホークス)
2004年:打率.358/44本塁打/120打点

 平成では唯一の三冠王が松中だ。最多安打と最高出塁率も獲得しており、盗塁王以外の五冠独占は他にバースしかいない快挙でもある。

 そんな松中だが、実は史上唯一の“単独ではない”三冠王で、三つのタイトルそれぞれが激しいデッドヒートの末に獲得したものだった。打率では小笠原道大(日本ハム)が8月まではトップで、シーズンも佳境に入った9月にようやく逆転。最終的には1分以上の差がついたとはいえ、未達成に終わっていた可能性もあった。

 さらに本塁打では、やはり日本ハムのセギノールが立ちはだかった。こちらも8月が終わった時点ではセギノールが40本、松中が38本で2位。結局同数の44本でシーズン終了したが、日本ハムはこの時点であと1試合が残っていた。1本でもセギノールが打っていれば三冠の夢ははかなく散っていただけに、松中は実力だけでなく運にも恵まれたと言える。

 なお、翌年も本塁打&打点の二冠を手にし、さらに首位打者争いにもからむものの、最終的には.315で3位(トップは西武・和田一浩の.322)。2年連続三冠王を惜しくも逃している。

文●筒居一孝(SLUGGER編集部)

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