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MLB

「ジャッジは甘い球が多いから打てる」は誤り。他の誰よりも“誤審”と戦いながら三冠王も狙う凄み<SLUGGER>

新井裕貴(SLUGGER編集部)

2022.09.23

卓越したアプローチで球数を稼ぐことで、投手の失投を待ち続ける。ジャッジの打撃はパワーだけではない。(C)Getty Images

卓越したアプローチで球数を稼ぐことで、投手の失投を待ち続ける。ジャッジの打撃はパワーだけではない。(C)Getty Images

 振り返れば昨年も、大谷が後半戦に極端な四球攻めに遭った際、「アジア人にホームラン王を取らせたくないから」という論調もあった。これに対しては、また別の記事(【大谷翔平の「四球攻め」は“差別”ではなく“必然”の選択。偉大すぎるゆえの苦しみ】)で説明しているが、端的に言えばエンジェルスで最高のバッターである大谷とわざわざ勝負する必要がないからだ。

 話を戻そう。果たしてジャッジは「甘い球」が多いから好成績を残せているのだろうか。

 件のデータ会社の投稿には続きがある。真ん中付近にボールが来た割合のMLB平均は26.0%だが、ジャッジはそれを下回る24.9%だというのだ。ジャッジは主に2番、9月以降は1番を打つことが増えている。20日時点の636打席はリーグ4位と、まずボールを投げられる回数自体が多いのだ。
 
 もっとも、全盛期のイチローがそうだったように、早いカウントから振っていく選手であれば、投げられる球の総数は少なくなる。しかしジャッジは違う。1打席当たりの投球数4.25はリーグ最多。内実を見ると、初球スウィング率(31.9%)はメジャー平均より高い一方で、ボール球スウィング率(23.0%)は平均以下にとどめており、優れた打席アプローチの良さによって球数を投げさせることができているわけだ。

 打席数も多い、かつ多くの球数を投げさせれば必然的に甘い球が増える可能性も高くなるわけで、件のツイート記事にある「真ん中付近に投じられた球の多さ8位」というのも納得だろう。

 また、こんなデータもある。先の「甘い球(Heart)」と異なり、逆にストライクゾーンの「ギリギリ(Shadow)」にボールを投じられた総数はメジャー全体5位の1129球。当たり前だが、当然ジャッジも厳しい攻めを受けているわけだ。さらに『Codify』は、「甘い球ゾーン」の広さのランキングも掲載しており、こちらでジャッジは1位になっている。身長201cmの大柄な体格から「甘い球のゾーン」が広く取られていることも、個数上昇につながっているようだ。

【動画】ジャッジが“甘い球”を仕留めて60号の大台に到達!
 
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