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プロ野球

ヤクルト連覇を手繰り寄せた「記憶に残る5試合」。開幕戦の大逆転勝利、高津監督の“哲学”が見えた一戦、大ベテランの奮闘<SLUGGER>

勝田聡

2022.10.04

投打すべてが噛み合ってリーグ連覇を達成。高津監督の野球哲学がチームに浸透していた。写真:徳原隆元

投打すべてが噛み合ってリーグ連覇を達成。高津監督の野球哲学がチームに浸透していた。写真:徳原隆元

●“村上様”が降臨。チームの危機を救う3打席連続ホームラン
【7月31日/阪神2-4ヤクルト@甲子園球場】


 2位・阪神との3連戦は2連敗で第3戦。試合前の時点でゲーム差は9と、数字だけを見れば安泰と言える状況だったが、コロナから復帰した選手たちがいつ本調子になるのか不透明な中では不安もよぎった。そして、この試合も6回を終えて0対2のビハインドとなり、好投手が揃う阪神も7回から継投へ。3連敗がちらつく中、不穏な空気を振り払ったのが村上宗隆だった。

 7回に1点差に迫るソロ本塁打を放つと、9回には同点弾。そして延長11回には、3打席連続となる勝ち越し2ランを叩き込んでチームを救ってみせたのだ。翌日に村上は2打席連続本塁打を放ち、5打席連続本塁打のプロ野球記録を達成。ヤクルトファンだけでなく、プロ野球ファンの間に”村神様”の呼び名が一気に浸透していった。

【動画】“村神様”が王貞治超えの56号! 最終戦で三冠王も手に
 
●小川で始まり小川で終わる。今季を“象徴”する形で連覇達成
【9月25日/ヤクルト1-0DeNA@神宮球場】


 後半戦に入ってから先発崩壊が叫ばれる中、チームを救ったのは「ライアン」こと小川泰弘だった。勝負どころの8月下旬からDeNA戦での登板はこれが3試合目。過去2戦はいずれも白星(6回3失点、7回無失点)とさすがの投球で、好調ベイスターズの前に立ちはだかった。

 そしてこの日は、勝てば優勝の大一番の先発マウンド。相手エースの今永昇太の凄まじい投球に負けじと、小川も6回無失点とエースの姿を見せる。7回からは石山泰稚、清水昇、マクガフが締める魂の継投でバトンをつなぐ。迎えた9回裏、1死二塁から丸山和郁 が左中間を破ってサヨナラ勝ちで優勝を決めた。小川の大炎上から始まった今シーズン。奥川と高橋奎二の二枚看板が不在の勝負どころを小川が支え、そして最後も小川で決めた。「やっぱりエースは小川なんだな」。そう感じながらセレモニーからのビールかけを見守っていた。

文●勝田聡

【著者プロフィール】 
かつた・さとし。1979年生まれ、東京都出身。人材派遣業界、食品業界で従事し30代後半で独立。プロ野球、独立リーグ、MLBなど年間100試合ほど現地観戦を行っている。2016年から神宮球場でのヤクルト戦を全試合観戦中。
 
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