段階を経るごとに目標を掲げていたことも大きい。入学時には、「3年の頃にはリーグ戦で投げるようになる」と目標を立て、前述の努力でそれを実現。
3年春はストレートばかりを投げ込み打ち込まれるなど、東京六大学の現実を知ることになるが、今度はその経験を糧にして、秋には多彩な変化球を操るようになる。先発を任されて防御率2.77をマークし、荘司の目標はついに「プロ」に定まった。
「リーグ戦で投げることを目標にしてきて、3年で150キロを投げることができました。秋に良いピッチングをして注目もしてもらったので、このまま頑張ることができれば、プロを目指せるだろうと。その時から、プロを意識するようになりました」
そして今年春からはエースに昇格。勝ち星は2つながらも防御率は1.72をマークし、チームのリーグ2位に貢献。そのまま大学日本代表入りするなど、アマチュアトップクラスの投手へと成長を遂げたのである。
計画したかのような成長曲線。
これには、指導者から言われたことはただ鵜呑みにして無機質に練習をするのではなく、理解しながら取り組んできたから成長できたといえる。
「練習方法の受け取り方は人ぞれぞれで、それをどう生かすかで変わると思うので、自分で考えながらやってきましたね。時に細かすぎるとか、考えすぎと言われることもありましたけど、自分の持ち味を活かしてきました」
この秋、ストレートの最速は154キロまで伸びた。スライダー、フォークと武器になる変化球もあり、本格派右腕としてプロの舞台に乗り込む準備はできている。
理想とするピッチングを尋ねると、荘司らしいスマートな言葉が返ってきた。
「相手にビジョンを描かせないピッチングをしていきたいですね。ビジョンとは例えば、ランナーを出さないとか。ランナーを出したとしても、そこからギアを上げて、つけ込ませないとか。そういうピッチングをしていきたいですね。ストレートは一番、変化球に関しても常にトップクラスとか。常に、自分に期待できるピッチャーでいたです」
プロに入っての理想は山本由伸(オリックス)のような圧倒的なピッチャーだという。
試合の貢献度が高く、ここという時に、いつも以上の存在感を見せる。そんなピッチャーになってこそ真のエースだと考えているのだ。
当然、課題は感じている。「自分は完成している」という気持ちは微塵もなく、「コントロールを上げていかないと自分のピッチングはできない」と抜かりはない。
これまでがそうだったように、自身がどうなっていくのかのビジョンを描いているからこそ、成長していけるのだろう。今の自分に何が必要か、そのためにどのようなフォームにする必要があり、それを支えるためのトレーニングをするというわけである。
「トレーニングや身体のことを勉強してよかったと思います。それまでの僕は末端を使うことしかできなかった。体の軸を鍛えてきたので、球が変わってきたなという実感はあります。ドラフトを楽しんで、その後にもリーグ戦が1カードあります。このチームで本当に勝ちたいと思っているので、全力でやりきりたいですね。そして、大学野球が終わったら自由にできるので、探究心を持って、しっかりとトレーニングをやっていきたいですね」
チームのために頑張る自分をイメージしつつ、先のビジョンまでスラスラと口にする。
プロという厳しい世界で揉まれることもあるだろうが、思考を巡らして目標に辿り着いてきた選手である。今後も、さらなる成長を遂げていきそうな楽しみな投手だ。
文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)
【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園は通過点です』(新潮社)、『baseballアスリートたちの限界突破』(青志社)がある。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設している。
3年春はストレートばかりを投げ込み打ち込まれるなど、東京六大学の現実を知ることになるが、今度はその経験を糧にして、秋には多彩な変化球を操るようになる。先発を任されて防御率2.77をマークし、荘司の目標はついに「プロ」に定まった。
「リーグ戦で投げることを目標にしてきて、3年で150キロを投げることができました。秋に良いピッチングをして注目もしてもらったので、このまま頑張ることができれば、プロを目指せるだろうと。その時から、プロを意識するようになりました」
そして今年春からはエースに昇格。勝ち星は2つながらも防御率は1.72をマークし、チームのリーグ2位に貢献。そのまま大学日本代表入りするなど、アマチュアトップクラスの投手へと成長を遂げたのである。
計画したかのような成長曲線。
これには、指導者から言われたことはただ鵜呑みにして無機質に練習をするのではなく、理解しながら取り組んできたから成長できたといえる。
「練習方法の受け取り方は人ぞれぞれで、それをどう生かすかで変わると思うので、自分で考えながらやってきましたね。時に細かすぎるとか、考えすぎと言われることもありましたけど、自分の持ち味を活かしてきました」
この秋、ストレートの最速は154キロまで伸びた。スライダー、フォークと武器になる変化球もあり、本格派右腕としてプロの舞台に乗り込む準備はできている。
理想とするピッチングを尋ねると、荘司らしいスマートな言葉が返ってきた。
「相手にビジョンを描かせないピッチングをしていきたいですね。ビジョンとは例えば、ランナーを出さないとか。ランナーを出したとしても、そこからギアを上げて、つけ込ませないとか。そういうピッチングをしていきたいですね。ストレートは一番、変化球に関しても常にトップクラスとか。常に、自分に期待できるピッチャーでいたです」
プロに入っての理想は山本由伸(オリックス)のような圧倒的なピッチャーだという。
試合の貢献度が高く、ここという時に、いつも以上の存在感を見せる。そんなピッチャーになってこそ真のエースだと考えているのだ。
当然、課題は感じている。「自分は完成している」という気持ちは微塵もなく、「コントロールを上げていかないと自分のピッチングはできない」と抜かりはない。
これまでがそうだったように、自身がどうなっていくのかのビジョンを描いているからこそ、成長していけるのだろう。今の自分に何が必要か、そのためにどのようなフォームにする必要があり、それを支えるためのトレーニングをするというわけである。
「トレーニングや身体のことを勉強してよかったと思います。それまでの僕は末端を使うことしかできなかった。体の軸を鍛えてきたので、球が変わってきたなという実感はあります。ドラフトを楽しんで、その後にもリーグ戦が1カードあります。このチームで本当に勝ちたいと思っているので、全力でやりきりたいですね。そして、大学野球が終わったら自由にできるので、探究心を持って、しっかりとトレーニングをやっていきたいですね」
チームのために頑張る自分をイメージしつつ、先のビジョンまでスラスラと口にする。
プロという厳しい世界で揉まれることもあるだろうが、思考を巡らして目標に辿り着いてきた選手である。今後も、さらなる成長を遂げていきそうな楽しみな投手だ。
文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)
【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園は通過点です』(新潮社)、『baseballアスリートたちの限界突破』(青志社)がある。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設している。