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プロ野球

打つべき球を打てなかったオリックスと、早いカウントを制したヤクルト。山田の3ランに見る両軍のアプローチの差<SLUGGER>

氏原英明

2022.10.26

 6番の中川圭太は3-2のフルカウントまで粘ったが、アウトコース高めのストレートにはハーフスウィングで空振り三振。7番の杉本裕太郎は、2-2からの5球目のストレートを振りにいったがバットは空を斬った。絶好のチャンスを潰してしまった。

 チャンスの後にピンチあり、ピンチの後にチャンスありとは、よく言ったものだ。

 5回表、今度はヤクルトが好機をつかむ。

 先頭の中村悠平が2-2からの5球目をレフト前に弾き返して出塁。続く7番のサンタナは1-1からの3球目を捉えてセンター前に落とし、無死一、二塁の好機を作った。続くキブレハンは2ボールナッシングからの3球目を狙いにいったが、打ち損じて遊撃へのフライ。9番の長岡秀樹は1−1からストレートを狙い打ったものの二直に倒れた。

 4回裏の高橋ほどではなかったとはいえ、宮城のコントロールも徐々に乱れはじめて、ヤクルト打線は浅いカウントから狙うようになっていた。そんな背景で、この日1番に入っていた山田哲人を迎えた。

 山田は初球のストレートを見逃した後、2球目を強振して捉え、左翼スタンドにアーチをかけたのだった。
 
「ストレートを狙っていて、いい角度で上がってくれた。自分のスウィングができたと思う」
 
 3ラン本塁打を放った山田はそう振り返った。

 これまでの2試合はノーヒット6三振と散々な成績だったが、さすがは千両役者である。かつて日本シリーズや国際大会でも、ここ一番では結果を出してきた男だ。この場面でも見事、仕事を果たした。

 この勝負に意味があったのは、オリックスが絶好のチャンスを逃し、ヤクルトが生かしたというところにある。野球はこうしたゲームの流れを制したチームが勝つと言われるが、まさに、この裏表の攻撃が試合を分けたと言ってもいい。

 返すがえすも、3回まで手に汗握る投手戦だった試合展開が、このように大きな潮目を迎えたのは、カウント勝負の中で、徐々に投手が乱れたところに起因している。

 そこで結果を残したのがヤクルトであり、後塵を拝したのがオリックスだった。
 
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