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プロ野球

山本由伸が突入した”防御率1点台”の領域。ダルビッシュ有や田中将大ら過去の達成者を振り返る

藤原彬

2019.11.28

 30歳以上での達成者は7人で、06年に31歳で記録した黒田博樹(広島)が最年長。典型的な本格派がゴロを打たせる投球も身に付け始めた時期で、投手不利の狭い広島市民球場を本拠地としながら異例といえる数字を残した。

 奪三振率が2ケタを超えた投手は2人のみ。11年のダルビッシュ(10.71)と17年の菊池雄星(西武/10.41)は投球回を上回るペースで三振を奪った。与四球率が出色だったのは06年の黒田(1.00)、11年の吉見一起(中日/1.09)、12年の田中(0.99)で、08年の岩隈久志(楽天/1.61)は被本塁打をわずか3本に抑えている。

 13年の田中と同様、勝ち運にも恵まれたのが07年の成瀬で16勝1敗。逆に、12年の野村祐輔(広島)は9勝11敗で2ケタ勝利にも届かず負け越し。今季の山本も最少タイの8勝と稀に見る援護の少なさだった。

 15年のジョンソン(広島)は投手個人の実力が反映されやすい奪三振率(6.95)と与四球率(3.10)がリーグ平均程度に過ぎず、前述の野村も同じ傾向(5.37/2.71)にあった。味方の好守備や運の要素も大きく影響したのかもしれない。
 
 今季の山本は奪三振率7.99、与四球率2.27で29人の平均値(7.70/1.82)に近い。新背番号18を背負い、周囲からの期待とともに責任も増す来季は、東京五輪参加も控える。疲労の蓄積も予想されるが、今季のような成績を継続できれば、偉大な投手たちの背中が見えてくるはずだ。

文●藤原彬
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『スラッガー』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。

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