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プロ野球

2年連続最下位からの脱却に成功した中嶋聡と高津臣吾。球界の“定説”をも覆した両指揮官の意外な共通点とは?

西尾典文

2022.12.26

現役時代の高津監督。2004年に舞台をメジャーに移し、名クローザーとして活躍。その実績は指導者としても活きている。(C)Getty Images

現役時代の高津監督。2004年に舞台をメジャーに移し、名クローザーとして活躍。その実績は指導者としても活きている。(C)Getty Images

 そんな多岐にわたる経験は監督としての選手起用、采配にも表れているように見える。何よりも大きいのがチーム内からの新戦力の発掘だ。

 中嶋監督が2020年のシーズン途中に二軍監督から一軍監督代行に就任するタイミングで二軍暮らしが続いていた杉本裕太郎を一軍で抜擢。翌年にはホームラン王にも輝いたのだが、それ以外にも中嶋監督就任後に見出された選手は少なくない。

 宮城大弥、紅林弘太郎の若手だけでなく宗佑磨、福田周平、中川圭太など中堅選手もこの2年間で大きく飛躍している。とりわけ宗、福田、中川の3人は元々守っていたポジションからコンバートされて花開いた選手であり、そういう点からも選手のあらゆる可能性を中嶋監督が熟考しているのが、よく分かる。

 一方の高津監督も先発投手陣が苦しい中でリリーフ陣を上手くやりくりしている点が目立つ。こちらも若手の木澤尚文だけでなく、先発として実績のある田口麗斗、他球団を自由契約となって移籍してきた今野龍太などを引き上げてブルペンに欠かせない存在となっている。また、特定の中継ぎ投手に負担がかからないように起用するブルペン陣のマネジメントの上手さは、さすが球界を代表するクローザーだったと言える。

 日本では選手を引退するとすぐにコーチ、時には監督に就任することもある。また指導者経験のない大物OBが「チーム再建への切り札」として監督となることも少なくない。もちろんそういった中からも結果を出している監督はいるが、選手と監督では求められる役割は全く違い、また特定の球団しか知らないというのはマイナス面も多いはずだ。
 
 かつては捕手が監督に向いている一方で、投手や外野手は向いていないという定説があった。しかし、近年の野球界を見ても現役時代のポジション以上に重要な要素は多いのではないだろうか。

 そういう意味でも中嶋、高津両監督は選手としても指導者としてもあらゆる経験を積んでおり、そのことがプラスになっている点も多いはずだ。今後もこの2人のような人材が求められる野球界になっていく可能性は高いだろう。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。

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