平均WAR31.2で3番目の15年も、前評判はそれほど高くはなく、1位で競合した高山俊(阪神/-1.7)、高橋純平(ソフトバンク/1.6)、平沢大河(ロッテ/-1.1)の3人も確たる実績を残せていない。一方で、単独入札の吉田正尚(オリックス/27.3)、今永昇太(DeNA/23.6)が大成功。病気に見舞われて早くに引退したが、多和田真三郎(西武)も最多勝を獲得するなどWAR10.8を記録している。
4番目は20年(29.8)。高卒選手はまだ実働2年で、ほとんど一軍にデビューしていない段階でこの数字はかなりのものだ。伊藤大海(日本ハム1位)の8.6を筆頭に、佐藤輝明(阪神1位)が4.6、早川隆久(楽天1位)は4.5、今季急成長を遂げた高橋宏斗(中日1位)も4.3と、プロ入り時から高評価を集めていた選手たちが順調に結果を残している。
栗林良吏(広島1位)も、WARは3.6ながら(WARはリリーフ投手の数字が伸びない傾向がある)1年目に新人記録の37セーブを挙げる大活躍で新人王を受賞。2位では、牧秀悟(DeNA)が8.3と伊藤大海に匹敵する数字。阪神は佐藤以外にも2位の伊藤将司が5.2、5位の中野拓夢も5.9で、チーム全体では15.5。日本ハムの10.2を大きく引き離して12球団トップの数字となっている。
18年は平均24.8で5番目。根尾昂(中日1位)ら高校生の逸材が多く、西武以外の11球団が高校生に入札したが、その中で唯一活躍している小園海斗(広島1位)でもまだWAR2.5。外れ1位だった近本光司(阪神/18.9)、辰巳涼介(楽天/9.8)、清水昇(ヤクルト/3.2)らの方が今のところ好成績を収めている。面白いのは6位の豊作ぶりで、戸郷翔征(巨人/10.4)、湯浅京己(阪神/2.0)、森脇亮介(西武/2.3)、中川圭太(オリックス/1.2)らが下位指名から飛躍を遂げた。
17年も、7球団競合がした清宮幸太郎を中心に高校生が注目を浴びたが、合計WAR24.1のうち実に23.0を一人で稼いでいるのが、清宮の外れ1位でヤクルト入りした村上宗隆だ。清宮は-0.7とまさかのマイナス、外れ1位で3球団が集中した安田尚憲(ロッテ)も1.9とまだ完全開花には至っていない。球団別では、村上に加えて塩見泰隆(9.4)を4位で指名したヤクルトだけが合計35.4と一人勝ちで、2番目のオリックスでも半分以下の17.4に過ぎない。
佐々木朗希に注目が集まった19年は平均23.0で8番目。高卒選手は今年が3年目とあって、まだ低めの順位なのは仕方がない。今のところ出世頭は、1年目で新人王を受賞した森下暢仁(広島)で、通算WAR11.7。ただ、高校生に逸材が多く、“令和の怪物”佐々木朗希(ロッテ1位)が8.4、宮城大弥(オリックス1位)が8.3、中日5位の岡林勇希が6.9などがすでに一軍の主力へ成長。今後も大きく数字を伸ばしそうだ。
実質的に一番の不作は平均WAR20.1の14年になる。この年は当初から「不作年」と言われていて、実際にその通りの結果になってしまった。特に中日(-1.2)とヤクルト(-1.0)はマイナスを計上。ファンから「即戦力外ドラフト」と揶揄される始末で、どちらのチームにとっても完全に“黒歴史”となっている。この2球団に隠れてはいるが、楽天もトータルで0.2にとどまるなど、WARからも不作であることが実証された形だ。
文●出野哲也
【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『メジャー・リーグ球団史』『プロ野球ドラフト総検証1965-』(いずれも言視舎)。
4番目は20年(29.8)。高卒選手はまだ実働2年で、ほとんど一軍にデビューしていない段階でこの数字はかなりのものだ。伊藤大海(日本ハム1位)の8.6を筆頭に、佐藤輝明(阪神1位)が4.6、早川隆久(楽天1位)は4.5、今季急成長を遂げた高橋宏斗(中日1位)も4.3と、プロ入り時から高評価を集めていた選手たちが順調に結果を残している。
栗林良吏(広島1位)も、WARは3.6ながら(WARはリリーフ投手の数字が伸びない傾向がある)1年目に新人記録の37セーブを挙げる大活躍で新人王を受賞。2位では、牧秀悟(DeNA)が8.3と伊藤大海に匹敵する数字。阪神は佐藤以外にも2位の伊藤将司が5.2、5位の中野拓夢も5.9で、チーム全体では15.5。日本ハムの10.2を大きく引き離して12球団トップの数字となっている。
18年は平均24.8で5番目。根尾昂(中日1位)ら高校生の逸材が多く、西武以外の11球団が高校生に入札したが、その中で唯一活躍している小園海斗(広島1位)でもまだWAR2.5。外れ1位だった近本光司(阪神/18.9)、辰巳涼介(楽天/9.8)、清水昇(ヤクルト/3.2)らの方が今のところ好成績を収めている。面白いのは6位の豊作ぶりで、戸郷翔征(巨人/10.4)、湯浅京己(阪神/2.0)、森脇亮介(西武/2.3)、中川圭太(オリックス/1.2)らが下位指名から飛躍を遂げた。
17年も、7球団競合がした清宮幸太郎を中心に高校生が注目を浴びたが、合計WAR24.1のうち実に23.0を一人で稼いでいるのが、清宮の外れ1位でヤクルト入りした村上宗隆だ。清宮は-0.7とまさかのマイナス、外れ1位で3球団が集中した安田尚憲(ロッテ)も1.9とまだ完全開花には至っていない。球団別では、村上に加えて塩見泰隆(9.4)を4位で指名したヤクルトだけが合計35.4と一人勝ちで、2番目のオリックスでも半分以下の17.4に過ぎない。
佐々木朗希に注目が集まった19年は平均23.0で8番目。高卒選手は今年が3年目とあって、まだ低めの順位なのは仕方がない。今のところ出世頭は、1年目で新人王を受賞した森下暢仁(広島)で、通算WAR11.7。ただ、高校生に逸材が多く、“令和の怪物”佐々木朗希(ロッテ1位)が8.4、宮城大弥(オリックス1位)が8.3、中日5位の岡林勇希が6.9などがすでに一軍の主力へ成長。今後も大きく数字を伸ばしそうだ。
実質的に一番の不作は平均WAR20.1の14年になる。この年は当初から「不作年」と言われていて、実際にその通りの結果になってしまった。特に中日(-1.2)とヤクルト(-1.0)はマイナスを計上。ファンから「即戦力外ドラフト」と揶揄される始末で、どちらのチームにとっても完全に“黒歴史”となっている。この2球団に隠れてはいるが、楽天もトータルで0.2にとどまるなど、WARからも不作であることが実証された形だ。
文●出野哲也
【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『メジャー・リーグ球団史』『プロ野球ドラフト総検証1965-』(いずれも言視舎)。