もはや大谷の二刀流は「当たり前」と受け止められている節もある。だが、よく考えてみればベーブ・ルース以来100年以上誰も成し遂げられなかったプレーなのである。勝利投手になった翌日にホームランという離れ業も、黒木氏の言葉を借りれば我々の感覚が「麻痺」してしまったために、その凄みを十分理解できていないのかもしれない。
黒木氏は現役時代、先発登板後の数日は身体がバキバキで、思うように動かない日もあったという。だからこそ、登板翌日から毎日のようにプレーしている大谷は「普通じゃないですよ。筋肉痛になってるのかな? サイボーグなんじゃないかなって思います(笑)」。
一方で黒木氏は、大谷がまだ成し遂げていないことがあると指摘する。ポストシーズン出場だ。
エンジェルスは目下7年連続で負け越し中と、大谷の活躍を勝利につなげることができていない。ここ数年、後半戦は消化試合をこなすだけの日々が続き、21年には大谷の「ヒリヒリする9月を過ごしたい」との発言が波紋を呼んだこともあった。黒木氏自身、『ワースポ』の解説者を務めたことで、秋の大舞台の"重み"に気づかされたという。
「メジャーのポストシーズンは(レギュラーシーズンと)完全に別物ですね。戦い方がまったく変わります。当然、選手全員が地区優勝は目指していると思うんですけど、ワールドチャンピオンに向けて段々と調子を上げて、ポストシーズンにどういう形で入っていくのかにもかなり重きを置いていますよね。上位のチームと下位のチームでは、もう根本的に野球が違うわけですよ」
「日本も、日本シリーズやクライマックスシリーズがありますけど、入り方がメジャーとは違う感じがあります。クライマックスシリーズはまだ歴史も浅いですしね。やっぱりメジャーは本当に歴史が長いので、ファンもどこを大事にしたらいいか分かっている。ポストシーズンに向けてファンも一体となって応援している感じがして、熱量も違います」 「だからこそ、翔平がポストシーズンで雄叫びを上げながら投げて、『オラー!』ってすごいスイングもして、全力で走っている姿が本当に見たいんですよね。ファンの方も強いチームでやってほしいと思っているはずですし。ファイターズ時代の翔平は、ここ一番の試合で信じられないパフォーマンスを見せてきましたからね」
「16年、リーグ優勝を決めた西武戦で16奪三振完封勝利、日本でのラストゲームは『4番・投手』で完封勝利……大事な時に何かとんでもないことをやっちゃう男なんですよ。だけど、”ここ一番”がアメリカではまだ見られていないので。多分、敵地で大ブーイングされたとしても、いつも通りに抑えてホームランも打っちゃいますから(笑)」
最後に、改めて大谷の魅力とは何か訊いてみた。
「もう二度と出てこない選手。大谷翔平を上回るような人間は、今後出てこないでしょう。投げるだけ、打つだけなら上の選手が出てくるかも知れないですけど、2つのポジションでこの成績。しかもですよ、容姿もいいし性格もいいし、誰から嫌われますか?(笑)。こんな選手は、少なくとも僕が生きている間は絶対出てこないと思います」
取材を終えて立ち上がった時、「あ~現地で翔平を見たかったなぁ」と黒木氏の本音が漏れた。その姿はまさに「大谷翔平ファン」以外の何物でもなかった。
構成●SLUGGER編集部
黒木氏は現役時代、先発登板後の数日は身体がバキバキで、思うように動かない日もあったという。だからこそ、登板翌日から毎日のようにプレーしている大谷は「普通じゃないですよ。筋肉痛になってるのかな? サイボーグなんじゃないかなって思います(笑)」。
一方で黒木氏は、大谷がまだ成し遂げていないことがあると指摘する。ポストシーズン出場だ。
エンジェルスは目下7年連続で負け越し中と、大谷の活躍を勝利につなげることができていない。ここ数年、後半戦は消化試合をこなすだけの日々が続き、21年には大谷の「ヒリヒリする9月を過ごしたい」との発言が波紋を呼んだこともあった。黒木氏自身、『ワースポ』の解説者を務めたことで、秋の大舞台の"重み"に気づかされたという。
「メジャーのポストシーズンは(レギュラーシーズンと)完全に別物ですね。戦い方がまったく変わります。当然、選手全員が地区優勝は目指していると思うんですけど、ワールドチャンピオンに向けて段々と調子を上げて、ポストシーズンにどういう形で入っていくのかにもかなり重きを置いていますよね。上位のチームと下位のチームでは、もう根本的に野球が違うわけですよ」
「日本も、日本シリーズやクライマックスシリーズがありますけど、入り方がメジャーとは違う感じがあります。クライマックスシリーズはまだ歴史も浅いですしね。やっぱりメジャーは本当に歴史が長いので、ファンもどこを大事にしたらいいか分かっている。ポストシーズンに向けてファンも一体となって応援している感じがして、熱量も違います」 「だからこそ、翔平がポストシーズンで雄叫びを上げながら投げて、『オラー!』ってすごいスイングもして、全力で走っている姿が本当に見たいんですよね。ファンの方も強いチームでやってほしいと思っているはずですし。ファイターズ時代の翔平は、ここ一番の試合で信じられないパフォーマンスを見せてきましたからね」
「16年、リーグ優勝を決めた西武戦で16奪三振完封勝利、日本でのラストゲームは『4番・投手』で完封勝利……大事な時に何かとんでもないことをやっちゃう男なんですよ。だけど、”ここ一番”がアメリカではまだ見られていないので。多分、敵地で大ブーイングされたとしても、いつも通りに抑えてホームランも打っちゃいますから(笑)」
最後に、改めて大谷の魅力とは何か訊いてみた。
「もう二度と出てこない選手。大谷翔平を上回るような人間は、今後出てこないでしょう。投げるだけ、打つだけなら上の選手が出てくるかも知れないですけど、2つのポジションでこの成績。しかもですよ、容姿もいいし性格もいいし、誰から嫌われますか?(笑)。こんな選手は、少なくとも僕が生きている間は絶対出てこないと思います」
取材を終えて立ち上がった時、「あ~現地で翔平を見たかったなぁ」と黒木氏の本音が漏れた。その姿はまさに「大谷翔平ファン」以外の何物でもなかった。
構成●SLUGGER編集部
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