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プロ野球

「僕が現役だったら120%使っていた」“魂のエース”黒木知宏がデータ野球時代に抱く選手ファーストのコーチ像<SLUGGER>

岩国誠

2023.01.07

 ひと言で「データ」と言っても、その内容は多岐にわたる。投手なら球速、球種ごとの回転数や変化量、打者ならスイングスピードや打球初速、打球の角度。それらを、コーチングするうえで、どのように活用していくのか。

「ロッテの選手でもいろいろな数字が出ていますが、それをどうやって向上させていくのか。数字が悪くなった選手にはどうアプローチしていくのか。そういうところをアナリストさんなどいろいろな方と話をしながらやっていますが、数字に対する選手たちの食いつきがいいんですよね」

「MLBからデータ野球が広まっていって、日本国内でも環境が整い始め、選手たちが自分のパフォーマンスを上げていくということが起きている。『やらないよりやった方が絶対得だよね』っていうのが今の時代なんだと思います。それをダメだと否定するのではなく、そうなんだと理解しないといけない。選手たちをサポートするのが、僕たちコーチの仕事ですからね」

 日本野球のコーチングは長らく、指導者が選手に対して一方的に技術を教える「Teaching(ティーチング)」が主体であった。指導者の知識と経験が圧倒的に多かった時代は、それしか選手がレベルアップを図る方法がなかったのだ。

 しかし、今はインターネットの普及もあり、あらゆる情報を個人が自ら選択して入手できる時代だ。野球の技術からメンタルコントロールまでYouTubeなどで独学できるようになり、選手たちの方が知識を持っていることも多くなってきている。黒木氏は現場を離れた5年間で、そうした時代の変化も感じているようだった。
 
「ただ、本当にその数字を出したくても、そのためのフィジカルと技術がないと出せないわけですから、そこは机上の数字だけではなく『身体を作っていく鍛錬もしなくちゃいけないよ』っていうことは、常々話をしていかないとと思っています」

「ファイターズでコーチをやってる時もトラックマンのデータはありましたが、やっぱり数字は一番説得力があって分かりやすいんですよね。だからと言って、その数字だけを追い求めたりとかすると、またちょっと違った部分になると思います」

「いい時の数字はその選手の指標にはなりますが、悪い状態の数字を見た時に『こういう数字が出ているから、この数字に戻していきましょう』だけではなく、悪くなった理由はどこにあるのか。身体の使い方が変わったのか、疲労でたまたま数字が出ないのかとか、いろんな視点で見ていかないといけないとは思ってます」

 今回の投手コーチ就任に際し、黒木氏は「常勝軍団を目指す千葉ロッテマリーンズのひとつの核となる強力投手陣を構築させるべく尽力していきます」と球団を通してコメントしている。今までもキャンプや試合中継などで選手たちを見てきたという黒木氏だが、現在のロッテの投手陣をどう見ているのだろうか。
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