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大谷翔平が「成し遂げたこと」と「これからなすべきこと」。日本ハム時代の恩師・黒木知宏が語る“愛弟子への想い”<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2023.01.10

黒木氏(左)は、大谷(右)が入団した13年から日本ハムの投手コーチへ就任。渡米直前の17年までは指導者として、以降は解説者として愛弟子を見守り続けた。写真:THE DIGEST写真部、Getty Images

黒木氏(左)は、大谷(右)が入団した13年から日本ハムの投手コーチへ就任。渡米直前の17年までは指導者として、以降は解説者として愛弟子を見守り続けた。写真:THE DIGEST写真部、Getty Images

 2023年から古巣ロッテの一軍投手コーチに就任する黒木知宏氏。それに伴い、4年間解説者を務めた『ワースポ×MLB』(以下、『ワースポ』)を"卒業"することになった。その黒木氏が、番組を通じて見守り続けてきた大谷翔平(エンジェルス)への思いを語ってくれた。

「もうね、ファンなんですよ、翔平の」

 大谷について訊ねた時、黒木氏は満面の笑みを浮かべながら語った。現役時代に最多勝を獲得し、通算78勝を挙げた“ジョニー”が「ファン」と語る存在。実は、黒木氏と大谷の関係は10年前にさかのぼる。

 大谷は2012年のドラフト1位指名で日本ハムに入団。同じタイミングで、黒木氏も日本ハムの一軍投手コーチに就任した。

 大谷が日本ハムに在籍した5年間、黒木氏は大谷の成長を間近で見守ってきた。「親子」とも形容していい間柄のようにも思えるが、同氏は「いやいや、おこがましいですよ(笑)。翔平はもう"遠い"ところに行っちゃってるので。『日本で5年間一緒にやったよね』っていう程度で、あとはもう見守る感じですね」と、はにかみながら否定する。

 その後、両者は違う形で繋がる。大谷がメジャー2年目を迎えた19年、黒木氏は『ワースポ』の解説者に就任。教え子の姿を画面越しに観察することになったのだ。毎日、番組で主に取り上げる3試合を、黒木氏はいつもスコアブックをつけながら観戦してきたが、やはりエンジェルス戦がピックアップされる機会が多かった。

 黒木氏は大谷の全打席・全投球はもちろん、試合中の表情などにも目を向けた。そして、日本時代との微細な変化を感じ取ったという。
 
「基本的にファイターズの時も楽しそうにやってたんですけど、どこかに疲れていたり、浮かない表情や仕草をしていた時もありました。あまり表には出さないんですけどね。でも、アメリカに行ってからは、なんだかいつもニコニコしながら本当に楽しそうに野球をやっているなって。でも、ボール投げる時だけは鬼のような表情になったりしますけど(笑)」

「だから、本当に行きたかったところだったんだっていうのも分かりますね。ここ2年は自分のプレーが少しずつ形となってリンクし始めてるんじゃないかなと思いますが、でもまだまだ完成系じゃないので。本人は絶対『これで完成しました!』って言わないと思います。そういう選手なんですよ翔平は」

 21年は満票でMVPに選ばれ、昨季は前人未到の“W規定”クリアも成し遂げた大谷。果たして黒木氏は、大谷の日本ハム入団当時から現在の姿をイメージしていたのだろうか。

「想像はしていたんですよ。とはいえ、実際ここまでの活躍をしていると、すごいなって思います。とんでもないとこに行くだろうな、というのはファイターズにいた時から思っていましたし。

 栗山英樹監督も同じように翔平のことを見ていて、『多分、誰も見たことない景色を見せてくれるんだろうな』という話はしていましたね。でも、果たしてどれぐらいの数字を残せるのか、二刀流でどれだけプレーさせてくれるのかとうのは見えない部分がありました」

「まぁ、ひとつ言えることは、僕ら麻痺していますね(笑)。まだやるだろうな。まだやることあるだろって思っちゃうぐらい、その期待を裏切らないのが大谷翔平なんですよ。すごい……もうすごいしか出てこないですよね」
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