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プロ野球

「僕が現役だったら120%使っていた」“魂のエース”黒木知宏がデータ野球時代に抱く選手ファーストのコーチ像<SLUGGER>

岩国誠

2023.01.07

「僕は全選手期待したい。ウチの投手、全員注目です! 全選手が10%~15%、20%底上げできたら、もう間違いなく日本随一の投手力になるのは見えているので。ただ、そのために必要なことが身体なのか技術的なことなのかも含めて考えていかないといけないと思っています」

「今年の日本シリーズでオリックス投手陣を見た時にすごく思ったんですよね。『若くて活きが良くて、ものすごく強い球を投げるブルペン陣がいたら強くなるだろうな』って。誰とは言いませんが、そういう逸材はウチにもいるので。そのクラスの選手をいっぱい輩出していけば優勝できると思っています」

「あとはコンディション、健康管理をしていかないといけない。野球は個人ではなくチームで戦うスポーツなので、誰かがダメだった時に他の誰かがカバーする。戦力をどういう風にして回していくかっていうマネジメント力は、コーチをやる上では絶対的に必要だと思っています」

 現役時代は”魂のエース”と呼ばれ、ファンのため、チームのためにその右腕を降り続けた黒木氏。15年ぶりに”戦闘モード”でマリンのグラウンドを踏むこととなる。

「古巣に帰るということには、大きなプレッシャーがあります。だけど、そこからは逃げられない。覚悟を決めてやるしかないですよね」

「まず、来年勝たなきゃいけないっていうのが一番です。まずは結果が一番。そこをやらなきゃいけない」
 
「そして、結果を出していくなかで、毎年のように新しい選手が出てくる環境作りをしていく。何があっても崩れない強い投手力を構築させていくってのが、僕のやるべきことなので。何年先ではなく、僕のやることはまず絶対に結果を出さないといけないと思っています」

 並々ならぬ決意を語った黒木氏だが、同時にこんなことも話していた。

「ただ、選手に寄り添うことはしていきたい。データや知識など、欲しいものがあればそれを提供するとか、選手を思う環境作りに全力を注ぎたいなと思います」

「秋季練習なんかで選手と接した時、(選手が)フレンドリーに接してくれるとすごく嬉しいんですよ。『フレンドリーに接してくれる』=『ちょっと心開いてくれてるかな』と思うんですよね。僕もそうだし、一緒に戦う仲間たちのことを信頼してもらって、お互いの距離感が近くなって、呼び方が変わったりとか接し方が変われば、おそらくチーム成績も良くなると思っています。(シーズンが)終わった時にニックネームで呼ばれるとか、なんかすごく近い距離感になっていたら。そういうコーチングをしていきたいと思います」

 マリーンズの低迷期を知るファンにとっては、待ちに待っていたエースの帰還。野球に対することなら何でも貪欲に吸収する姿勢と、選手ファーストの意識の強さが黒木氏の話から強く感じられた。日本ハム時代、ともに大谷翔平の育成に関わった吉井理人新監督の下、どんな投手陣を構築していくのか。今からシーズン開幕が待ち遠しい。

取材・文●岩国誠

岩国誠(いわくにまこと):1973年3月26日生まれ。32歳でプロ野球を取り扱うスポーツ情報番組のADとしてテレビ業界入り。Webコンテンツ制作会社を経て、フリーランスに転身。それを機に、フリーライターとしての活動を始め、現在も映像ディレクターとwebライターの二刀流でNPBや独立リーグの取材を行っている。
 

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