入団時から滝澤の守備への評価は高かった。実際、見て驚かされたのは捕球してからスローイングまでの早さ。首脳陣が一軍で使って見たくなるのもうなずける華麗なものに見えたが、滝澤本人は「（自分の守備は）格好良くない」と、全く納得していない。

「スピード感というところに関しては、僕も自信はありますが、でもそれは源田さんもできること。（自分の持ち味である）スピードを活かした守備と、一連の動作で源田さんのようなプレーをする。とにかく源田さんの後ろでしっかり見て、真似して、いろんなことを吸収してレベルアップしたいと思っています」

　守備は源田から、そして打撃は中村からアドバイスをもらっているという滝澤。さらに今年は、シーズンを戦い抜くために体重も増やしている。

「去年は63キロでしたが、２キロくらい増えました。体力アップというか、（１年間）バテないような身体作りを考えたら、体重を増やして、その体重があまり変動しないような意識でやっています。ただ、それで自分の売りのスピードが落ちてしまったら意味がないので、体重にあったスピード感というか、自分の売りを削らないようにしていけたらと思っています」
  　プロである以上、目標は試合に出場して結果を残すことが求められる。しかし、滝澤に前には、高い壁がそびえ立っている。

「源田さんには正直かなわないというところもありますが、数年後にはレギュラーとして活躍するというのが自分の目標。そこに向かって、実力をつけていきたいと思っているので、１軍でも２軍でも、とにかく結果を出してレギュラーを掴み取れるようにやっています」

　すぐには無理かもしれないが、目指すところはレギュラー奪取。共に寮生活を送るルーキーたちですら「みんな先輩のような感じ」と、まだまだ遠慮も見られる19歳の若獅子・滝澤夏央、師匠・源田の背中から多くのことを吸収し、この先どんな成長を遂げていくのか。その先にある師匠超え、是非ともかなえてほしいところだ。

取材・文●岩国誠

岩国誠（いわくにまこと）：1973年３月26日生まれ。32歳でプロ野球を取り扱うスポーツ情報番組のＡＤとしてテレビ業界入り。Webコンテンツ制作会社を経て、フリーランスに転身。それを機に、フリーライターとしての活動を始め、現在も映像ディレクターとwebライターの二刀流でNPBや独立リーグの取材を行っている。