【楽天】
　涌井秀章とのトレードで、中日の主力だった阿部寿樹が取れたのは大きい。ポジションがどこになるにしろ、現有戦力を刺激するのは間違いない。また、新外国人として先発候補のバニュエロス、大砲役のフランコと現役メジャーリーガー２人を獲得。昨年は外国人打者が７本塁打のみだっただけに、フランコにかかる期待は大きい。

　ドラフトでも１位の荘司康誠、２位の小孫竜二をはじめ即戦力系の投手を大量に指名した。現状の先発陣が年齢的に弱体化し始めているので、若い力が優勝争いに加わるためには不可欠となる。

【ロッテ】
　オスナとタイロン・ゲレーロが退団したところへ、澤村拓一が３年ぶりに復帰。新外国人のペルドモ、カスティーヨともどもブルペンを再編する。先発陣ではエニー・ロメロに代わり、巨人で実績のあるメルセデスが加わった。

　野手では戦力にならなかった３人の外国人が揃って退団し、巨人からポランコが加入したので確実にグレードアップ。まだ野手の外国人枠は余っているので、開幕前にももう一人加わりそうだ。潜在能力の高い若手選手たちが多数いるので、これらの新戦力と噛み合えば上位進出も不可能ではない。
  【日本ハム】
　最下位の日本ハムは、昨年の出塁率がリーグ最低の.292。そこから.418の近藤が抜けてしまい、攻撃力は壊滅的状況と言っても過言ではない。新外国人も中日を退団したマルティネスを拾い上げただけ。

　そこで注目されるのが、ドラフト３位で入団した加藤豪将。まがいなりにも現役メジャーリーガーであり、３Ａでは昨年こそOPS.682だったが、一昨年は.862。レギュラーで使えるようなら、多少光明も見えてくる。投手ではドラフト２位の金村尚真が実戦派と評判で、新人王候補に挙げる声もある。１位の矢澤宏太が投打二刀流としてどこまでできるかも注目で、順位争いはともかく、新球場エスコンフィールドも含めて話題には事欠かないだろう。

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『メジャー・リーグ球団史』『プロ野球ドラフト総検証1965-』（いずれも言視舎）。