WBCのためだけでなく、その先のシーズンも見据えているのは、同じく巨人の大勢も同じだった。
「僕にはこれじゃなきゃダメだっていう感覚がないんですよね。いろんなことを感じながらどんどん取り入れていって成長していこうと思っています。今のところ、後退はしていないと思う」
どうしても大きな大会が目の前にあると、それに合わせた調整をしてしまいがちだ。それが、時には気負いに変わることがある。しかし、大勢は投手として成長したい姿があると語っている。
現在模索している投球フォームに関してだけでなく、新球種スライダーの習得についても同じだ。この合宿中、ダルビッシュ有(パドレス)から教えも受けた。
「自分がスライダーはこうやって投げると思っていたものが、ダルビッシュさんとお話をして全然そうじゃなかった。むしろ、全然そんな発想もなかった。言葉にするのは難しいですが、もっと簡単に投げられるというのを教えていただいたんで大きかったなと思います」。
時に新球種はピッチングのバランスを壊すこともあるが、大勢はそうしたチャレンジの繰り返していくことで、自分が大きくなれることを知っているのだ。
そもそも、大勢にとってのクローザーという役割も「天職」と思ってやり始めたわけではない。プロ入り前にパーソナルトレーナーと相談し、「1年目は先発よりリリーフをやる方がいい」との結論に至ったからだ。
大卒のドラフト1位として即戦力を期待されていたものの、先発を1年通してやるだけの体力が今の自分にはないからと、短いイニングでの爆発力を目指した。それが功を奏し、昨季は新人最多タイ記録の37セーブを上げる活躍を見せたのだった。
自分は成長過程にある。WBCを前にしても、大勢はその姿勢を崩さない。
大勢は続ける。
「自分自身は1年間戦えることが大事だと思うんですけど、それと同時にやっぱり1年間通して野球がうまくなりたいっていう気持ちがあるので、フォームや球種を変えたりすることにあまり怖さがない。自分の中で本当に後退している感じではなく成長してるって思っているので、最初はできなくてもどんどんできるようなってくるという感覚はある。だから、シーズン通して成長したいなと思っています」
侍ジャパンの選手たちには、それぞれポジションがある。
その中でどのようなパフォーマンスを発揮していくか、個人個人が考えていくことになるだろう。それを一般的には「役割」というのかもしれない。ただ、それは後からついてくるもので、選手個々が成長するのも大事なことであり、だからこそ戸郷や大勢は自身の中に今ある感覚を重視しているのだろう。
実に頼もしい。
取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)
【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園は通過点です』(新潮社)、『baseballアスリートたちの限界突破』(青志社)がある。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設している。
【画像】WBCに挑む侍ジャパン30名の顔ぶれを厳選PHOTOで一挙紹介!
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「僕にはこれじゃなきゃダメだっていう感覚がないんですよね。いろんなことを感じながらどんどん取り入れていって成長していこうと思っています。今のところ、後退はしていないと思う」
どうしても大きな大会が目の前にあると、それに合わせた調整をしてしまいがちだ。それが、時には気負いに変わることがある。しかし、大勢は投手として成長したい姿があると語っている。
現在模索している投球フォームに関してだけでなく、新球種スライダーの習得についても同じだ。この合宿中、ダルビッシュ有(パドレス)から教えも受けた。
「自分がスライダーはこうやって投げると思っていたものが、ダルビッシュさんとお話をして全然そうじゃなかった。むしろ、全然そんな発想もなかった。言葉にするのは難しいですが、もっと簡単に投げられるというのを教えていただいたんで大きかったなと思います」。
時に新球種はピッチングのバランスを壊すこともあるが、大勢はそうしたチャレンジの繰り返していくことで、自分が大きくなれることを知っているのだ。
そもそも、大勢にとってのクローザーという役割も「天職」と思ってやり始めたわけではない。プロ入り前にパーソナルトレーナーと相談し、「1年目は先発よりリリーフをやる方がいい」との結論に至ったからだ。
大卒のドラフト1位として即戦力を期待されていたものの、先発を1年通してやるだけの体力が今の自分にはないからと、短いイニングでの爆発力を目指した。それが功を奏し、昨季は新人最多タイ記録の37セーブを上げる活躍を見せたのだった。
自分は成長過程にある。WBCを前にしても、大勢はその姿勢を崩さない。
大勢は続ける。
「自分自身は1年間戦えることが大事だと思うんですけど、それと同時にやっぱり1年間通して野球がうまくなりたいっていう気持ちがあるので、フォームや球種を変えたりすることにあまり怖さがない。自分の中で本当に後退している感じではなく成長してるって思っているので、最初はできなくてもどんどんできるようなってくるという感覚はある。だから、シーズン通して成長したいなと思っています」
侍ジャパンの選手たちには、それぞれポジションがある。
その中でどのようなパフォーマンスを発揮していくか、個人個人が考えていくことになるだろう。それを一般的には「役割」というのかもしれない。ただ、それは後からついてくるもので、選手個々が成長するのも大事なことであり、だからこそ戸郷や大勢は自身の中に今ある感覚を重視しているのだろう。
実に頼もしい。
取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)
【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園は通過点です』(新潮社)、『baseballアスリートたちの限界突破』(青志社)がある。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設している。
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