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侍ジャパン

ベールに包まれていた投手起用が判明。球数制限下のWBCでカギとなる“ジョーカー的存在”とは?<SLUGGER>

氏原英明

2023.02.23

 そんななかで、週末のソフトバンクとの対外試合に登板する順番やイニング数が発表され、その陣容が見えてきたというわけである。

 第1戦の先発は佐々木朗希(ロッテ)で2イニングを投げる予定。続く2番手に今永昇太(DeNA)が同じく2イニングでつなぐ。その後、伊藤大海(日本ハム)が1イニング、宮城大弥(オリックス)の2イニングを挟んだのちに、戸郷翔征(巨人)と宇田川優希(オリックス)が1イニングずつに登板し、タイブレークは髙橋宏が投げる。

 第2戦は山本由伸が先発で3イニング行って、高橋奎二(ヤクルト)が2イニングでつなぎ、松井裕樹(楽天)、湯浅克己(阪神)、大勢(巨人)、栗林良吏(広島)がいずれも1イニングずつを受け持つ。

 つまり、現時点では先発の4人目は佐々木。第2先発はサウスポーの3人が受け持つということになりそうだ。先発の4人が全て右投手だけに、2枚の先発投手を左右でクロスしてイニングを稼いでいく戦略は非常に理にかなっていると言えるだろう。

 先発候補は他に、伊藤、戸郷がいただけに、この3人を選んだというのは非常に興味深い。
 
 クローザーは栗林、大勢の2枚体制になるだろうが、ここでキーポイントとして注目したいのが伊藤と松井だ。

 伊藤は東京五輪でもリリーフを務め、金メダル獲得に貢献。シーズンとは役割が異なる難しい位置を見事に務め、先発投手からバトンをしっかり受け継いだ経験がある。一方の松井は、リリーフ陣では唯一17年のWBCを経験しており、舞台の勝手を知っているのだ。

 そんな2人は今回のWBCでも、それぞれの本職ではない役割を務める。だが、これが意外に大事な場面での投入になるのとみられる。

 というのも、WBCには球数制限がある。

 第1ラウンド、準々決勝、アメリカでの準決勝、決勝とそれぞれ制限される球数は異なるが、とりわけ4試合もある第1ラウンドは65球。これは試合を勝ち切る上で大きなポイントになる。第2先発がいるから2人でつなげばいいとの意見もあるが、そういうわけにもいかないのだ。

 なぜなら球数制限のルール下では、イニングを完了してから降板することが必ずしも約束されないからだ。前回大会でも、先発投手が球数によりイニング途中に交代することがあり、リリーバーがイニング途中を埋めてから第2先発につなぐという方法を多くとっていた。

 しかし今大会からはワンポイント起用が禁止されたため、イニング完了を専門とするピッチャーがいないのだ。そうした中でチームを前進させていくにいは、伊藤や松井のような経験者の力が必要というわけだ。
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