1年目の悔しい経験を糧に、大きな変化を求めた隅田。ただ、勝敗に目が行きがちな1年目の成績だが、投球イニング81回2/3と防御率3.75は、ここ数年で西武が先発として獲得した大卒ドラ1の多和田真三郎(98回2/3、防御率4.38)や、松本航(85回1/3、防御率4.54)と比べても遜色はない。
多和田はのちに最多勝を獲得。松本も一昨年は10勝を挙げたように、両投手とも2年目以降にしっかり結果を残している。契約更改の席で渡辺久信GMが「そんなモンじゃないだろ?」と隅田に言ったのは、それだけのポテンシャルを発揮できると球団も信じているからだろう。
55球を投じたキャンプ最後のブルペンでは、打者を立たせて、カウントや状況も想定し、より実戦をイメージしながらの投球だった。空振りを奪うのか、ファウルをとるのか。1球ごとの意図が、見ている側にも感じられた。そして最後は、ストレート3球でフィニッシュした。
「ブルペンで内容を求めるのもそうなんですが、まずはキャンプの締め括りを自分でしっかりやって、自分に喝を入れるじゃないですが『さあ、オープン戦へいくぞ!』という気持ちで投げました。去年と違って、自分で目的を持って投げ込みもしましたし、練習の強度も自分で考えながら、この後のオープン戦やシーズンに向けての準備ができたと思います」
1月の自主トレ取材でもそうだったが、その言葉からは、常に今年への強い思いが溢れ出していた。思えば去年、初勝利をあげた試合では三振を奪えば雄叫びを上げ、山川穂高が先制3ランを放ったときには、ベンチ前で飛び上がって喜んでいた。そうした滾る感情を素直に表現できるところは投手向きともいえよう。
開幕投手の高橋光成を除けば、昨年10勝をあげたエンス、與座海人や今井達也、松本航、さらには先発転向を目指す平良海馬など、先発を争うチーム内のライバルは多い。
自ら信じた道を突き進み、その争いを突破した先に、隅田自身が求める『逆襲のシーズン』が待っているはずだ。
取材・文●岩国誠
【著者プロフィール】
岩国誠(いわくにまこと):1973年3月26日生まれ。32歳でプロ野球を取り扱うスポーツ情報番組のADとしてテレビ業界入り。Webコンテンツ制作会社を経て、フリーランスに転身。それを機に、フリーライターとしての活動を始め、現在も映像ディレクターとwebライターの二刀流でNPBや独立リーグの取材を行っている。
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55球を投じたキャンプ最後のブルペンでは、打者を立たせて、カウントや状況も想定し、より実戦をイメージしながらの投球だった。空振りを奪うのか、ファウルをとるのか。1球ごとの意図が、見ている側にも感じられた。そして最後は、ストレート3球でフィニッシュした。
「ブルペンで内容を求めるのもそうなんですが、まずはキャンプの締め括りを自分でしっかりやって、自分に喝を入れるじゃないですが『さあ、オープン戦へいくぞ!』という気持ちで投げました。去年と違って、自分で目的を持って投げ込みもしましたし、練習の強度も自分で考えながら、この後のオープン戦やシーズンに向けての準備ができたと思います」
1月の自主トレ取材でもそうだったが、その言葉からは、常に今年への強い思いが溢れ出していた。思えば去年、初勝利をあげた試合では三振を奪えば雄叫びを上げ、山川穂高が先制3ランを放ったときには、ベンチ前で飛び上がって喜んでいた。そうした滾る感情を素直に表現できるところは投手向きともいえよう。
開幕投手の高橋光成を除けば、昨年10勝をあげたエンス、與座海人や今井達也、松本航、さらには先発転向を目指す平良海馬など、先発を争うチーム内のライバルは多い。
自ら信じた道を突き進み、その争いを突破した先に、隅田自身が求める『逆襲のシーズン』が待っているはずだ。
取材・文●岩国誠
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岩国誠(いわくにまこと):1973年3月26日生まれ。32歳でプロ野球を取り扱うスポーツ情報番組のADとしてテレビ業界入り。Webコンテンツ制作会社を経て、フリーランスに転身。それを機に、フリーライターとしての活動を始め、現在も映像ディレクターとwebライターの二刀流でNPBや独立リーグの取材を行っている。
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