この日の近藤は1打席目に四球を選ぶと、2打席目は1死一塁からチャンスを拡大するセンター前ヒットで、岡本のタイムリーにつなげた。3打席目には1死一、二塁からセンター前へタイムリーを放ち、4番の村上宗隆(ヤクルト)が歩かされた後をきっちりカバーした。
今回の侍ジャパンの最強たるゆえんは、一部の選手だけに頼らない層の厚さだろう。
中心にいるのは、大谷翔平(エンゼルス)、鈴木誠也(カブス)らメジャー組に、今日の4番である村上宗隆らになるが、それ以外の選手も彼らを援護するべく控えている。
試合の中では主軸打者がうまく結果を残せない時もある。他の選手がいかに結果を残すかも、当然ながら重要だ。
岡本は話す。
「打順が何番でも役割はその状況に応じて変化することなので、すべて同じだと思っています。そこは打順が変わっても(チャンスでの)気持ちは変わらずいけたかなと思います。本番までに試合がそんなに多くないと思うので、試合に出たときには1打席1打席を大事にいきたいなと思ってます」
主砲の後の打者が結果を残せないでいると、相手投手陣は勢いづく。逆に、後ろを打つ近藤や岡本のような打者にまで結果を出されると、投手は打つ手がなくなる。だからこそ、主砲の後ろを任されても結果を出してくれる選手は貴重なのだ。
近藤も、その役割を熟知している選手と言える。
「(村上の後ろを打つと)チャンスで回ってくることが多いと思いますし、試合の終盤などではなおさら歩かされることも増えると思います。そういうところで今日は本当に自分の持ち味、長所をアピールできるようにと思って打席に立っていました。(村上の後ろを打つのは)気持ちのコントロールの部分が大事になってくると思います」
スタメン9人で全試合を勝てるとしたら、これ以上に楽なことはない。だが、野球の試合はさまざまなことが起こる。主砲がマークされても、それをカバーする選手の質こそがチームの底力を引き上げるのだ。
“歴代最強メンバー”たちの初実戦。レギュラーを約束されていない立場の選手たちが、スタメン出場へ猛アピールを見せたことは、「俺たちが後ろに控えているぞ」という安心感にあふれたメッセージでもある。
取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)
【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園は通過点です』(新潮社)、『baseballアスリートたちの限界突破』(青志社)がある。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設している。
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中心にいるのは、大谷翔平(エンゼルス)、鈴木誠也(カブス)らメジャー組に、今日の4番である村上宗隆らになるが、それ以外の選手も彼らを援護するべく控えている。
試合の中では主軸打者がうまく結果を残せない時もある。他の選手がいかに結果を残すかも、当然ながら重要だ。
岡本は話す。
「打順が何番でも役割はその状況に応じて変化することなので、すべて同じだと思っています。そこは打順が変わっても(チャンスでの)気持ちは変わらずいけたかなと思います。本番までに試合がそんなに多くないと思うので、試合に出たときには1打席1打席を大事にいきたいなと思ってます」
主砲の後の打者が結果を残せないでいると、相手投手陣は勢いづく。逆に、後ろを打つ近藤や岡本のような打者にまで結果を出されると、投手は打つ手がなくなる。だからこそ、主砲の後ろを任されても結果を出してくれる選手は貴重なのだ。
近藤も、その役割を熟知している選手と言える。
「(村上の後ろを打つと)チャンスで回ってくることが多いと思いますし、試合の終盤などではなおさら歩かされることも増えると思います。そういうところで今日は本当に自分の持ち味、長所をアピールできるようにと思って打席に立っていました。(村上の後ろを打つのは)気持ちのコントロールの部分が大事になってくると思います」
スタメン9人で全試合を勝てるとしたら、これ以上に楽なことはない。だが、野球の試合はさまざまなことが起こる。主砲がマークされても、それをカバーする選手の質こそがチームの底力を引き上げるのだ。
“歴代最強メンバー”たちの初実戦。レギュラーを約束されていない立場の選手たちが、スタメン出場へ猛アピールを見せたことは、「俺たちが後ろに控えているぞ」という安心感にあふれたメッセージでもある。
取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)
【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園は通過点です』(新潮社)、『baseballアスリートたちの限界突破』(青志社)がある。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設している。
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