そうしたメジャー球界の傾向からしても…と言うと、少し大袈裟かもしれない。だが、何気なかった周東の盗塁は、ただの盗塁には見えなかった。失敗すれば、2死と追い込まれるリスクを冒してでも、得点機を広げる。そして、成功させるために過去の経験から実行した初球からの仕掛けは、データでは表れにくい感覚的な面がふんだんに活かされていた。
自身の好走塁について「アウトになっても、セーフになってもっていうところはあった」と正直に話した周東は、「次の塁っていうのはしっかり狙っていきたい。ただ気持ちが行き過ぎて失敗する経験もある。行き過ぎてもよくないですけど、行かな過ぎてもよくない。勇気というか、タイミングが合ったなかで行けたのは良かったかな」と淡々と続けた。
「失敗する経験もある」――。この言葉に日本における野球の価値観が集約されているような気がしてしまう。周東が土壇場の局面で盗塁を成功させたプロセスは、現代野球では希少。あらためて評価されるべきではないだろうか。
先述の発言におけるイチローの真意は定かではない。だが、彼は引退会見において、こうも言い残している。
「日本の野球がアメリカの野球に追従する必要なんてまったくなくて、やっぱり日本の野球は頭を使う面白い野球であってほしいなと思います。アメリカのこの流れは止まらないので、せめて日本の野球は決して変わってはいけないこと、大切にしなくてはいけないものを大切にしてほしい」
来る3月8日に開幕するWBCにおいて、おそらくアメリカのような大国は、セイバーメトリクスを駆使した野球を仕掛けてくる。無論、日本もデータは活かすだろう。ただ、そこに重きを置き過ぎずに挑んでほしい。古典的な考えだと言われるかもしれないが、それこそイチローの言う「頭を使う面白い野球」に繋がるはずだ。
文●羽澄凜太郎(THE DIGEST編集部)
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先述の発言におけるイチローの真意は定かではない。だが、彼は引退会見において、こうも言い残している。
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