３位以降はさらに混戦となる。

　投手陣の安定感で西武が抜きに出るかもしれない。エースの高橋光成、今井達也、松本航が中心だったところに、平良海馬が中継ぎから転向。オープン戦では防御率0.00と支配的なピッチングを見せた。高橋の座を脅かすかもしれない。

　一方、ブルペン陣はその穴をどう埋めていくか。昨季の新人王・水上由伸ら枚数はいるだけに、増田達至の座を脅かす存在が出てくると面白い。育成選手でWBCコロンビア代表としてアメリカ戦に登板したヘレラが支配下を掴むか。

　打線は森友哉が抜け、やや迫力を欠くことになる。山川穂高への負担は倍増すると見られるが、山賊打線というよりも、つなぎの打線で得点を積み重ねていきたい。源田壮亮がWBC中の怪我で開幕から１か月は出場できない。この間に黒星を重ねないことが肝だ。

　その後を追うのが楽天、ロッテあたり。

　楽天は涌井秀章をトレードで放出。右打者不足の打線だけに、阿部寿樹の加入は大きい。ギッテンスが下半身不良で開幕に間に合わないのは痛いが、序盤をどう乗り切っていくか。投手陣は開幕投手を務める、田中将大、則本昂大の実績組に、早川隆久、藤平尚真ら若い世代がローテに絡んできているのは興味深い。

　若い力の台頭はチームを活性化させる。岸孝之、辛島航なども控えているだけに、ここは明るい材料としてみたい。WBCでは活躍できなかった松井裕樹がどう調整するかもポイント。投手陣が安定すれば粘り強く戦っていける。
  　ロッテはWBCで活躍した佐々木朗希がローテーションで１年回れるかがポイント。シーズン前にフルで投げただけに。吉井理人新監督がどう判断するか。投手陣は安定してきているが、問題は外国人に頼らざるを得ない打線だ。

　それは言い換えれば、若い選手の伸び悩みが気がかりなところだ。山口航輝、高部瑛斗らが台頭しているとはいえ、平沢大河、藤原恭大、安田尚憲らドラ１選手たちがまだまだ物足りない。

　最下位に予想した日本ハムは実力がないわけではない。

　ただ、近藤健介がFA移籍した穴はとてつもなく大きい。チームが変わる転換期だけに、ある意味仕方がないが、今年も我慢の１年になるのではないか。

　投手陣は開幕投手の加藤貴之、メジャー挑戦表明の上沢直之、WBC代表の伊藤大海、昨季、ノーノーを達成したポンセと実力者がいる。問題は打線がどこまで抜擢の域を出て、真のレギュラーとなれるかどうか。

取材・文●氏原英明（ベースボールジャーナリスト）

【著者プロフィール】
うじはら・ひであき／1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園は通過点です』（新潮社）、『baseballアスリートたちの限界突破』（青志社）がある。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設している。