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プロ野球

ブーイングではなく、あくまで戦いの中で互いを高め合う。森友哉と髙橋光成が見せた野球人の矜持<SLUGGER>

氏原英明

2023.04.04

 9回2死、オリックス1点ビハインドで森は打席に立ったのだ。西武にとっては、「最後の打者」が森になるはずだった。

 だが、森はここで快心の当たりを見せる。

 初球のスプリットを捉えると、右中間最深部に同点弾を叩き込んだのである。

「(スプリットは)狙ってないです。今日は全体的に積極的に行こうと思っていて、タイミングがあったら振りに行くという感じで対応していました。去年までプレーしていた西武ドームで活躍できて良かったですね」

 ホームランを打った相手の青山美夏人はルーキーだ。つまり、「元チームメイト」の範囲からは外れており、どういう球が来るかは分からなかった。だからこそ、森は積極的に振りに行くことでタイミングを合わせようとしたのだ。難しさもある中で最高の結果。流石の一言だ。
 
 開幕3連戦でオリックスは2勝1敗。森も計9打数2安打(打率.222)だったとはいえ、まずは好スタートを切ったと言えるだろう。西武ファンからのブーイングも浴びる場面もあったが、森は意に介さず前向きに語った。
 
「ブーイングを浴びるのは、それだけ去年まで応援してくれていたということだし、どうのこうの思うことはないですね。(元チームメイトとの対戦は)キャッチャーとしては難しかったです。ベンチで見ているのと、マスク越しで見るのとでは違いましたし、駆け引きとかも難しかった。キャッチャーは勝って評価されるポジションなんで、連勝したかったですし、なんとか最小失点で抑えたいというのはいつも思いますね」

 試合後の高橋との遺恨なき語り合いも、野球人という括りの中では内も外も関係ないという考えが窺える。森だけでなく、髙橋の側もそれは同じなのだろう。

 ブーイングではなく、あくまで純粋な対戦の中で互いの成長を確認する。

 そんな2人の、野球人としての矜持が垣間見られたシーンでもあった。

取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園は通過点です』(新潮社)、『baseballアスリートたちの限界突破』(青志社)がある。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設している。
 

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